「懐古主義」と「懐古趣味」は読み方や表記が似た言葉ですが、意味が異なるため状況に応じて使い分けることが必要です。
この記事では、「懐古主義」と「懐古趣味」の違いを分かりやすく説明していきます。
「懐古主義」とは?
「懐古主義」は「かいこしゅぎ」と読む言葉で、「昔の情勢や風潮の方が優れていたと思い、現在を否定的に捉えること」という意味を持っています。
「懐古」は「昔を懐かしむこと」を示し、「主義」は「考え」や「主張」などを示します。
「懐古趣味」とは?
「懐古趣味」は「かいこしゅみ」と読み、上記でも触れた「懐古」と「楽しんで愛好する物事」を示す「趣味」が組み合わさった言葉で、「昔を懐かしんだり古い情緒を味わったりすること」もしくは「古いもの、レトロなものを好むこと」といった意味があります。
「懐古主義」と「懐古趣味」の違い
「懐古主義」と「懐古趣味」には共通して「昔を懐かしむこと」を表す「懐古」が使用されていますが、各々が持つ意味合いに違いがあります。
「懐古主義」は昔を懐かしむことに加え、「昔の方が優れていたと主張し現在を否定する」という意味合いがあります。
一方、「懐古趣味」は「昔を懐かしみ、古い風情を味わう」もしくは「レトロなものを好むこと」といった意味を持っています。
「懐古主義」の例文
「懐古主義」は「昔の方が良かったという考えが強く、最近の物事を否定的に捉える」ことを意味し、「現在の風潮や方法を受け入れらない」や「昔を美化しすぎている」などのニュアンスもあるため、どちらかというとネガティブな意味合いで使用されています。
「懐古主義に浸る」や「懐古主義に陥る」といった用法があるほか、「懐古主義的な考えを持った人」のことを「懐古主義者」と表す場合もあります。
・『祖母は古い写真を見るたびに懐古主義に浸る癖がある』
・『父は年を重ねるたびに考え方が狭くなり、懐古主義に陥っている気がする』
・『彼は懐古主義者なので、新しいものを片っ端から否定する』
・『彼女は現代風の身なりをしているが、意外に懐古主義的な考えを持っている』
「懐古趣味」の例文
「懐古趣味」は「昔を懐かしんだり古い風情を味わったりする」際や「レトロな趣味を持っていること」などに対して使用されますが、日常的に使用される機会は多くないようです。
用法の例としては、「懐古趣味が反映される」や「懐古趣味的な」などがあります。
・『そのクラシックなデザインはデザイナーの懐古趣味が反映されている』
・『新しくオープンした喫茶店に行ってみたが、コーヒーの味よりも懐古趣味的なインテリアの方が印象的だった』
・『昭和時代を懐かしむ懐古趣味が流行っているようだ』
・『懐古趣味を持つ友人は着物を着て外出する機会が多い』
まとめ
「懐古主義」と「懐古趣味」はどちらも「懐かしさ」や「過ぎ去った時代」に関する言葉ですが、それぞれが持つ意味合いに違いがあることが分かります。
両者の正しい意味や用法を学んで、場面に応じて使い分けましょう。
ぜひ言葉の豆知識として参考にしてください。