「差別」と「区別」は類似した意味を持つ似た言葉です。
「差別」という表現は「差別的な処遇が問題になりました」といった文章で使い、「区別」という表現も「優良品と不良品を区別しました」といった文章で使われますが、「差別」と「区別」の意味の違いはどこにあるのでしょうか?
「差別」の意味や使い方
「差別」という表現は、「あるものと別のあるものの間に存在する違い」や「二つのものの間の違いに従って区別すること」を意味しています。
また「差別」には、「あるものと他のものの間の取り扱い(待遇)に差をつけること」や「他のもの(他の人)よりも、不当(不平等)に低く取り扱って不利益を与えること」の意味があります。
「差別」という表現の使い方は、「あるものと別のものを区別する場合」にも使われますが、主に「特定の人々(集団)を不平等に取り扱って不利益を与える場合」に使う使い方になります。
「区別」の意味や使い方
「区別」という表現は、「あるものと別のあるものをその差(違い)によって分けること」を意味しています。
「区別」という言葉には、「二つ以上のものを分けて、不平等に処遇する」という意味はありません。
「区別」という表現の使い方は、「年齢によって遊具の安全基準を区別しています」のように、「二つ以上のものをその違いによって分ける場合」に使うという使い方になります。
「差別」と「区別」の違い
「差別」という表現は、「あるものと別のあるものの間にある違いに従って区別すること」という意味だけではなく、「特定の人々(集団)に対して不当(不平等)な取り扱いをして不利益を与えること」を意味しています。
それに対して、「区別」という表現は「あるものと他のものとをその差(違い)によって分けること」だけを意味していて、「差別」のように「特定の人々に対して不公正な取り扱いをして苦しめること」の意味合いがないという違いがあるのです。
「差別」には「冷遇・剥奪・いじめ」を想起させるネガティブなニュアンスがありますが、「区別」にはそういった悪い意味のニュアンスはありません。
「差別」を使った例文と意味を解釈
「差別」を使った例文を紹介して、その意味を解釈していきます。
「人類の歴史には、敗者や少数民族に対する苛烈な差別の歴史がありました」
この「差別」を使った例文は、「差別」という表現を、「敗者や少数民族に対して、不当にひどい取り扱いをして不利益を与える歴史があった」という意味合いで使用しています。
「区別」を使った例文と意味を解釈
「区別」を使った例文を紹介して、その意味を解釈していきます。
「多くのアパレルブランドでは、男性用と女性用で洋服のサイズを区別して製造しています」
この「区別」を使った例文は、「区別」という表現を、「(男女の間には平均的な体型の違いがあるので)男性用と女性用で洋服のサイズを分けて製造している」という意味で使っています。
まとめ
「差別」と「区別」の意味の違いについて説明してきましたが、「差別」の表現は「特定の人々・集団を不当に取り扱って不利益を与えること」に意味の重点があります。
それに対して、「区別」の表現は「あるものと他のものとの間の差に従って分けること」に意味の重点があります。
「差別」と「区別」の意味の違いを正しく理解して、内容やシチュエーション(状況)に応じて適切に使い分けるようにしましょう。
