どちらも、不動産関連でよく用いられる「滅失」と「毀損」。
この記事では、「滅失」と「毀損」の違いを分かりやすく説明していきます。
「滅失」とは?
「滅失」は、「めっしつ」と読みます。
意味は、滅んでなくなること。
滅んでなくなるものは主に建物を指し用いられます。
地震や火事などといった天災によって建物自体がなくなってしまうということはあります。
そのような状態が「滅失」です。
建物が消滅して完全になくなること、そのもの自体が持つ機能を失ってしまうこととなります。
類語には、「断滅」や「絶滅」、「消滅」、「消失」などがあります。
「滅失」の使い方
「滅失」は、「滅失する」や「滅失した」などと用いられ、「滅失」した世帯のことを「滅失世帯」と表します。
「毀損」とは?
「毀損」は、「きそん」と読みます。
意味は、ものを壊すこと、ものが壊れること、といった物的なもののほか、利益や体面を損なうこと、といった意味があります。
このように、「毀損」は、実際に目に見えるものにも、目に見えないようなものにも用いられる言葉です。
「毀損」の場合、あくまでも、壊すこと、壊れること、を意味し、完全になくなる必要はありません。
存在は維持することができている状態でも、その一部が壊れているような状態を指す言葉となります。
類語には、「破損」や「傷つける」、「損壊」などがあります。
「毀損」の使い方
「毀損」を用いた言葉の中で有名な言葉に「名誉毀損」があります。
「名誉毀損」とは、名誉を損なうようなことを行った相手に対し用いられます。
そのほか、「建物の毀損」や「器物毀損」などといった形で用いられます。
「滅失」と「毀損」の違い
「滅失」と「毀損」とでは、状態に大きな違いがあります。
同じ建物で比較した場合、「滅失」は、建物が完全になくなっている状態を指し、「毀損」は、建物の一部が壊れている状態を指します。
建物の存在が残っていない場合は「滅失」。
残っている状態は「毀損」ということになります。
「滅失」の例文
・『今回の震災では、多くの建物が滅失してしまいました』
・『私が住む地域で昔からある貴重な建物が火災で滅失した』
・『大規模火災によって、このあたり一帯が滅失してしまった』
・『実家を解体したため、建物滅失登記を申請する必要があります』
「毀損」の例文
・『夫が器物毀損の疑いで逮捕されました』
・『ネットでの誹謗中傷も、立派な名誉毀損にあたると私は考えます』
・『骨董品などは毀損しやすいため、丁寧に取り扱う必要があります』
・『重要文化財の一部が毀損してしまいました』
まとめ
同じ建物で比較しても明確な違いがある「滅失」と「毀損」。
人が住むことができないほど建物がなくなっている場合は「滅失」。
壊れてはいるものの、建物自体は存在し住むことも可能な状態は「毀損」。
この違いが基本です。
そのほか、「毀損」は、名誉など、実際には目に見えないような抽象的なものに対しても用いられるといった違いがあります。