政治のニュースでは、国家の政治的なリーダーを示す「大統領」と「首相」の言葉がよく出てきますが、この二つの言葉の違いを正しく理解できていますか?
「大統領」と「首相」の意味の違いを分かりやすく詳しく説明していきます。
「大統領」の意味や使い方
「大統領」とは、「君主(国王・皇帝)がいない共和制国家における国家元首・国の最高権威者」を意味しています。
大統領は「国家元首(=国家を代表する人物・機関)」ですが、国家元首は必ずしも「実際の政治権力・権限」を持っているとは限りません。
アメリカ合衆国やロシア、韓国の大統領は政治・経済・外交に関する強い権限を持っていますが、ドイツやイタリアの大統領は象徴的・儀礼的な大統領で政治権限を持っていません。
「大統領」は一般的に、「国民(有権者)の直接投票・大統領選挙」によって選ばれます。
日本は伝統的権威を持つ立憲君主の「天皇」がいらっしゃるので、共和制国家ではなく「立憲君主制国家」になります。
そのため、日本には「大統領」は存在できないということになります。
「首相」の意味や使い方
「首相」とは、「行政府の長・政府を構成する内閣(閣僚)のトップ」を意味しています。
「首相」は「国王・皇帝・天皇などの君主(伝統的な国家元首)が存在する王制・立憲君主制の国家」にも置くことができます。
「首相」は「三権分立(立法・行政・司法)」を前提とした「議会が選出した行政府のリーダー・内閣(閣僚)のトップ」であり、実際の政治権力・権限を持っていることがほとんどです。
日本・イギリスのような議院内閣制の国では、議会で与党(多数派政党)になった政党の党首が「首相」に選ばれます。
「首相」は「大統領」とは異なり、「議会における議員による選挙」で選ばれるのです。
「大統領」と「首相」の違い
「大統領」と「首相」の最大の違いは、「大統領」は国家元首(国家を代表する最高権威者)ですが、「首相」は行政(政治)のトップで国家元首ではない(別に大統領・君主がいる)ということにあります。
そのため、国家元首である「大統領」は、伝統的な国家元首である国王や天皇がいる国には置くことができません。
国家元首の「大統領」は「国民投票・大統領選挙」で選ばれますが、行政(内閣)のトップの「首相」は「議員投票・議院内閣制(議会の多数派政党による内閣組閣)」で選ばれるという大きな違いもあります。
大統領と首相が両方いるロシアやドイツ、フランス、韓国、インドのような国もあります。
権威的な序列では大統領が首相よりも常に上ですが、「実際の政治権限の強さ」は国によって大統領が強いか首相が強いかが変わります。
まとめ
「大統領」と「首相」の違いを詳しく説明してきましたが、いかがでしたか?
「大統領」は「共和制国家の国家元首(最高権威者)」を意味していて、「首相」は「議会が選出した行政府(内閣)のリーダー」を意味しているという違いがあります。
「大統領」と「首相」の違いを調べたい時は、この記事を読んでみてください。