「斟酌」と「忖度」の違いとは?分かりやすく解釈

「斟酌」と「忖度」の違い二語の違い

この記事では、「斟酌」「忖度」の違いを分かりやすく説明していきます。

「斟酌」とは?

斟酌とは、しんしゃくという読み方をする言葉です。

文字で表記されているのを見れば明らかな様に、事情をくみとるとか手心を加えるといった意味を持つ斟の文字に、事情や意見をくみとるや酒をつぐといった意味がある酌を付け足す事で生まれた言葉となっています。

なので斟酌は、相手の事情や気持ちをくみとるとかくみとる事で手加減をする、といった意味を持っているのです。

「斟酌」の使い方

斟酌は、家族や友人同士の会話等の日常ではほとんど使われない言葉となっています。

そのため斟酌という言葉に馴染みがない人は、特に珍しくはありません。

もっともこの言葉はビジネスや政治、裁判といった場で使われる事が多い言葉です。

例えば裁判では、未成年者である事を斟酌し刑を軽くする、といった使い方がされる事があります。

これは罪を犯したのが未成年者であるという事情を汲んで、罪を軽くするという意味を持っているのです。

「忖度」とは?

忖度とは、そんたくという読み方をする言葉となっています。

使用されている漢字を見れば分かりますが、はかるとか推し量るといった意味の忖の字に、推し量るや見積もるといった意味を有する度を足す事で生まれた言葉です。

だからこそ忖度は、他者の心を推し量るとか相手に配慮するといった意味を持っています。

「忖度」の使い方

忖度は、相手の心や状況等を考慮するといった意味を持つ言葉です。

そのため本来で忖度は、相手への気遣いを見せるというポジティブな意味合いで用いられていた言葉でした。

所が最近では会社の上司等の目上の人にとって都合良く事が運ぶ様に手心を加える等して、機嫌を取るといったネガティブな意味合いで使われる事も少なくありません。

「斟酌」と「忖度」の違い

斟酌と忖度は使用されている漢字も、読み方も全然違っている言葉同士です。

ですがどちらの言葉も、相手の心をくみとるといった意味合いを持つので、使い分けの際には迷ってしまう部分はあります。

もっとも斟酌は心情をくむ以外にも、その上で手加減するといった意味合いも表す事が可能です。

一方の忖度は、本来の意味では相手の気持ちを察するだけで、手心を加えて行動を起こすという意味は含まれていません。

ですが近年では忖度は、目上の人の心情をくんで手心を加えて行動するという意味合いでも用いられています。

「斟酌」の例文

・『会議では斟酌なしで発言して貰いたい』
・『彼はまだ新人である事を斟酌し、失敗の責任は問わない事とします』

「忖度」の例文

・『子育てで忙しい妻を忖度し、積極的に家事を手伝う事にしました』
・『彼は上司に忖度するばかりで、部下の面倒見は非常に悪い』

まとめ

2つの言葉は使用されている文字も、読み方も違っています。

ですが共に気持ちをくむといった似た意味合いを有しているため、いざ使い分けるとなるとややこしい部分があるものです。

もっとも斟酌は、相手の心情をくむだけでなく、くんだ上で手加減するといった意味も含める事が出来ます。

対する忖度は、本来持つ意味としては相手の心中を察するだけで、取り計らうという意味はありません。

ですが最近では、目上の立場の人の気持ちや考えをくんで、意向に沿って行動を起こすという意味でも使われているのです。