日々の生活の中で、優れた人物に出会ったことがある人は多いでしょう。
敬う気持ちを持たせてくれる人に対して使う言葉が「敬意」や「尊敬」という言葉です。
どちらも相手を敬う気持ちを表現していますが、正しく使い分けているでしょうか。
この記事では「敬意」と「尊敬」の違いを分かりやすく説明していきます。
「敬意」とは?
「けいい」と読み、誰かに対して敬う気持ちのことをいいます。
この言葉のニュアンスをよく表しているのが「意」という漢字です。
「意」は「意思」など積極的な気持ちを表す字です。
「敬意」がただの敬う気持ちではなく、誰かを慕っていることを積極的に表す姿勢を示しています。
似た言葉に「畏敬(いけい)の念」がありますが、こちらは恐れ敬う気持ちが強く、自然発生的な印象があります。
意思に基づいた尊敬の念を表すならばやはり「敬意」でしょう。
「敬意」の使い方
「敬意」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『私は先生に「敬意」を抱いていた』
・『彼はその老人に「敬意」を示した』
・『全員、あの兵士に「敬意」を払うべきだ』
・『我が国はこの科学者に「敬意」を表する』
・『子供の時から野口英世には「敬意」を持ってきた』
・『その部下は先輩への「敬意」を怠った』
・『「敬意」と感謝』
「尊敬」とは?
「そんけい」と読み、その人の行動や業績の中に非凡な点のあることを認め、自他の模範になる人物であると仰ぎ見ることをいいます。
他人の人格や行為を高いものと認め、頭をさげるような、ついていきたくなるような気持になることを表します。
一言で言い表すならば「うやまうこと」です。
似た言葉に「感心(かんしん)」「敬慕(けいぼ)」「礼賛(らいさん)」があります。
「尊敬」の使い方
「尊敬」が使われる代表的な例文です。
・『私は先生を「尊敬」している』
・『あの女性は「尊敬」に値する人物だ』
・『金メダルを取った彼は「尊敬」の的である』
・『祖母には長年、「尊敬」の念を抱いていた』
・『彼女はその女性に「尊敬」の眼差しを向けた』
「敬意」と「尊敬」の違い
「敬意」は他人を敬う「気持ち」を表し、「尊敬」は他人を敬う気持ちに「なること」を指します。
誰かを敬うことを表現する点では同じですが、用法が異なるので注意が必要です。
「敬意」は敬う「気持ち」ですので、示す、払う、表する、表す、持つ、抱く、のようにその気持ちを「外に向けて表す、または胸の内に所有している様を示す動詞」をともなうことが多く、「尊敬」は他人を敬う「こと」そのものですので、尊敬「する」、尊敬に「値する」など、「尊敬」の言葉そのものを「肯定する動詞」と一緒に使用することが多くなります。
「敬意」に値する、「尊敬」を払う、という表現は適切ではありません。
一緒に使う言葉に気を付けましょう。
まとめ
「敬意」と「尊敬」は昔から使用されてきた人間関係の文化を示す重要な言葉です。
誰かを尊敬する気持ちとともに、これらの言葉や用法も大切にしていくべきでしょう。