「略称」と「通称」 の違いとは?分かりやすく解釈

「略称」と「通称」 の違い二語の違い

「略称」「通称」は、日常でよく使われる言葉であり、2つとも似たような意味があると認識している方も多いのではないでしょうか。

しかし厳密には異なる意味をもち、使い分ける必要があります。

本文では、「略称」「通称」の違いを、具体例を用いながらわかりやすく解説します。

「略称」の意味とは?

「略称」とは、「略して称する」という字面の通り、あるワードの一部分を、省略または簡略化した形を意味します。

以下は、世間一般でよく使用される、「略称」の例です。

・労働組合→「労組」
・切符手形→「切手」
・教科用図書→「教科書」
・アメリカ合衆国→「USA」
・国際連合→「UN」
「労組」は、馴染みのある略称ですが、「教科書」「切符」も実は、略称です。

また、「USA」「UN」のように、アルファベットを用いて略す場合もあります。

「略称」であると判断するポイントは、正式名称を略しているという点です。

すなわち、省略または簡略化されている部分を元に戻すと、必ず正式な表現・語にたどり着きます。

「通称」の意味とは?

「通称」とは、特定の人や物、事象について、世間一般で通用している呼び名・語を意味します。

世間一般で使用されている「通称」の例には、「あだ名」「ペンネーム」「芸名」など、人に対する呼び名が広く浸透しています。

「サチコさん」のあだ名が「さっちゃん」である場合、「サチコさん、通称さっちゃん」と言い表せます。

また、特定の手段や戦略について、組織内での「通称」を用いる例もあります。

以下がその例文です。

『クライアントからの急な変更の連絡が入り、進めていたプロジェクトの軌道修正を早急に行う必要がある。

ここは、いつもの「作戦B」で対応しよう』 例文内の「作戦B」は、特定の手段に対するこの組織内での「通称」と言えます。

「通称」は、世間一般で通用している別名という意味がありますが、組織内や、一定の人間関係の中でのみ使用される「通称」も存在します。

「略称」と「通称」の違いは?

「略称」「通称」も、元のワードを便宜的に変更している点では、よく似ています。

しかし厳密には、異なる意味をもちます。

見分けるポイントは、正式名称に基づいて簡略化された表現であるか、それとも、正式名称とは別に新しくつくられた表現であるか、という点です。

例えば、会社でよく用いられる、「取締役社長」という役職名について考えてみましょう。

「取締役社長」は、正式な場面以外では、単に「社長」と呼ばれることもあります。

この「社長」は、「取締役」の部分を簡易的に略しているため、「略称」といえます。

正式名称に基づいて簡略化された表現であるため、「取締役」の部分を元に戻すと、正式名称「取締役社長」にたどり着きます。

それでは、ある会社内で「取締役社長」「ボス」と呼ばれていたとしましょう。

この「ボス」は、正式名称「取締役社長」とは別に新しくつくられた呼び名であるため、「通称」といえます。

正式名称に基づいた簡略化ではないので、「ボス」に何を加えても「取締役社長」にはたどり着きません。

正式名称に基づいた簡略化であれば「略称」、正式名称とは別でつくられた表現であれば「通称」という点をおさえ、使い分けましょう。

まとめ

本文では、「略称」「通称」の違いについて、具体例を用いて解説しました。

混同しやすい2つの言葉ですが、ポイントをおさえて正しく活用しましょう。