相手に対する返事として使われる言葉に「御意」と「了解」があります。
どちらも最近はマナー界隈で話題に上がることの多い言葉ですが、この2つの言葉は明確な違いを持つ別の言葉であり使うべきシチュエーションが異なります。
今回は、「御意」と「了解」の違いについて解説します。
「御意」とは?
「御意」とは「主に目上の人に対して使われる承知の意味を持つ返事」です。
「御意」の本来の意味は「身分の高い人、高貴な人の考えや意見」です。
もともとの使われ方は貴方様の意見に全て従いますという意味で「御意のままに」でしたがこの表現が短く短縮され返事の言葉になったのが「御意」です。
目上の人の意見を全肯定するという元の意味から転じて「(あなたの言った内容の全てを)承知した」という意味で使われています。
現在でも「御意」は自分よりも上の立場の人に対してのみ使われます。
対等もしくは下の立場に対して返事で使うと慇懃無礼な印象を与えてしまいます。
ただし、最近は特に親しい間柄の相手に対して単なる返事の言葉として使われる事例も見られます。
「御意」の使い方
・会長の指示に対し御意と返事を返す。
・独裁国家では上からの命令に対し御意以外の返事はありえない。
・執事が主に対し御意と返す。
・いくら目上の相手だからといって御意にございますという返事は大げさすぎないか。
「了解」とは?
「了解」とは「内容を理解し承知すること」です。
「了解」には説明された内容を正しく理解している、というニュアンスが含まれます。
物事の内容や手順を理解舌上で承知するのが了解であり、わからない状態のままただ承知するのは「了解」ではありません。
「了解」は内容を理解した上で承認していることから、納得の上で認めているという意味合いで使われます。
複雑な物事を噛み砕いて理解し認めるのが「了解」であり意思伝達や命令においては了解した側に大きな責任が発生します。
「了解」しておきながらいい加減な対応をすることは許されません。
「了解」の使い方
・任務了解、早速行動を開始します。
・その件に関してはすでに先方の了解を取り付けてあるので心配する必要はない ・お問い合わせの件、確かに了解いたしましたので確認の上ご連絡差し上げます。
・了解、と返事はいいが行動が伴っていないようではどうしようもない。
「御意」と「了解」の違い
「御意」と「了解」はどちらも承知の意味を持つ返事の言葉です。
「御意」が目上の人の意見や指示をまるごと受け入れて承知しているのに対し「了解」には内容を正しく理解した上で承知しているというニュアンスがこめられています。
「御意」はかなり敬意が強い言葉であり目上の相手以外には使いませんが「了解」は特別な敬意のない実用的な性質の強い言葉です。
目上の人から下の立場まですべての相手に使えます。
まとめ
「御意」と「了解」は承知するという意味は共通していますがふさわしい場面や相手は全く異なります。
知らずに使ってしまうと相手に対し失礼になってしまう可能性があるので注意してください。