「随筆」と「エッセイ」はどちらも作者のこころのままに筆を走らせて書かれた文章を意味します。
このふたつは日本語と英語であるだけで全く同じものだと思っている人もいますがそれは大きな間違いです。
それぞれが全く別の意味を持つ別の言葉であり混同してはいけません。
今回は、「随筆」と「エッセイ」それぞれの意味と違いについて解説します。
「随筆」とは?
「随筆」とは「本当にあった出来事や事実に対し意見や気持ちをこころのおもむくままに書いた文章」です。
「随筆」の最大の特徴は、本当にあった出来事をテーマにしていることです。
事件や話題、特定の人物や物をテーマに自分がどんな思いを抱いているのかを文章にしたものが随筆であり常に事実や出来事が文章の主題となります。
本当にあった出来事に対して自分がどう向き合うのか、どうとらえるのかを描いたのが随筆なので文章の中心は筆者の心のあり方や考え方となります。
完成した随筆は体験や経験とそれに対する思索や発見という形で構成され、客観的な事実は共通していても体験の当事者である筆者次第で趣が大きく変わります。
「随筆」の使い方
・徒然草は日本で最も有名な随筆である。
・随筆を呼んで筆者の考え方に触れる。
・何でもかんでも書き散らすような文章では随筆とは言えない。
・共通のテーマで複数復数の人に随筆の執筆を依頼する。
「エッセイ」とは?
「エッセイ」とは「筆者の心に浮かんだことをそのまま書き綴った文章」を指します。
「エッセイ」の中心は筆者の心の有り様です。
どう考え何を思いどう感じたのか、筆者の心のありようそのものを言語化したものがエッセイであり形式はなく散文として綴られます。
「エッセイ」には筆者の心に浮かんだことを整理して言語化するという側面があります。
筆者自身も整理しきれていない心に抱えたもやもやを文章化することで一つの意見にまとめたものがエッセイであり、筆者はエッセイを通じて自らの心中を再発見します。
「エッセイ」の使い方
・エッセイの連載を毎週楽しみに読んでいる ・心に浮かんだことをそのまま言葉に書き綴るのがエッセイを書くコツだ。
・この人のエッセイを読むと新しい発見がある。
・エッセイとは名ばかりのただの愚痴の羅列でしかない文章を読むのは苦痛だ。
「随筆」と「エッセイ」の違い
「随筆」と「エッセイ」の違いは事実を主題にしているかどうかです。
「随筆」は本当にあった出来事を主題に筆者の抱いた感想や意見を文章にしたものです。
「エッセイ」は必ずしも事実を主題にする必要はなく筆者の思いのみを書いても成立します。
「随筆」では出来事の描写も重要でレポートのような形式になることもありますが「エッセイ」では描写は必須ではなく筆者の心中や考え変えたに焦点が当てられます。
筆者が実際にあった出来事からどんな着想を得たのか、どんな考えに至ったのかを知るのが「随筆」を読む楽しみです。
「エッセイ」は随筆よりももっと直接的に筆者の考えに触れられます。
まとめ
「随筆」と「エッセイ」はとても良く似ていて混同されがちですが完成した文章を読めばはっきりと違いがわかります。
それぞれの違いを知り正しく言葉を使い分けてください。