同音異義語は日本語話者である我々でも悩むことのある難しい言葉のカテゴリです。
ワードなどの変換ではこれを解決する為なのか、意味や例文が出て来る機能があります。
それぐらい迷ってしまうものです。
漢字が違っていればいいのですが、同じ漢字や似た様な意味が使われていると途端に難易度が上がります。
その中の代表例が『一理』と『一利』です。
『一』はもちろん、次の漢字である『理』と『利』もいい意味として使えることがあり、どの様な意味なのかを推測することを困難にしています。
果たしてどちらがどの様な意味なのでしょうか。
この記事では「一理」と「一利」の違いを分かりやすく説明していきます。
「一理」とは
まず、この単語の意味は『一応の道理や理屈』という意味を表します。
もう少し詳しく見ていきましょう。
例えば会議などで意見をぶつけている時などを考えてみるとイメージがしやすいです。
例えば上司の案や意見に反論する意見を出した時にそこに道理や理屈があると、『君の意見にも一理あるな』という反応が返ってくることがあります。
これは言い直すと『君の意見にも一応の道理や理屈があるな』ということになり、相手が受け入れるか拒否するかは別として、発言や意見に道筋が通っていることを認識しているという意味になります。
「一利」とは
一方『一利』は少し見方が変わる言葉です。
これは『利益や利点などがある』という意味をもつ言葉です。
一番この言葉を使うのは『百害あって一利なし』という慣用句ではないでしょうか。
例えば最近では健康面での観点からタバコに関して風当たりが強い状況です。
依存性や健康を害するのはもちろん、値段も昔と比べて大幅に上昇している為、家計にも大きな打撃を与える為、非喫煙者からは『タバコなんて百害あって一利なし』という発言を聞いたことは一度はあるのではないでしょうか。
「一理」と「一利」の違い
この二つは『道理が通っているのか』『利益があるのか』という違いで分けることが出来ます。
道理と利益は相関関係にはなく、残念ながら道理が通っていないことでも利益が上がることはありますし、利益がないからといって道理がないということにはならないのが現実の世界です。
一見すると道理も利益も正しいことであるかの様に見えますが、道理は『考え方』、利益は『現象』としてとらえるといいかもしれません。
「一理」の例文
・『不遜な態度はいかがなものかと思うが、彼の意見には一理あると私は感じた。』
・『難しい問題ではあるが、生徒たちの主張にも一理あるのではないだろうか。』
・『私の考えに一理あると感じて頂けるのであれば、もう一度検討をして頂けませんでしょうか。』
『一利』の例文
・『外来種は既存の固有種に悪影響を与え、生態系を大きく狂わせる為、百害あって一利なしとされている。』
・『どの案も一理一害があり、判断を下すことがとても難しい状況にあった。』
・『百害あって一利なしとは皆さん言いますが、物は使いようではないでしょうか。』
まとめ
如何でしたでしょうか。
音や漢字、そして漢字そのものが持つ意味も似ているのが今回の『一理』と『一利』でした。
この様な同音異義語を正しく理解するコツは別の言葉に置き換えたり、英語やカタカナ言葉にして意味を理解すると混同しない様になります。
是非工夫してみて下さい。