この記事では、「忍ぶ」と「偲ぶ」の違いを分かりやすく説明していきます。
「忍ぶ」とは?
「忍ぶ」には2つの意味があります。
ひとつは、苦しいことに耐えるです。
人目につかないようにぐっと耐えることをいいます。
今、泣きたい気持ちであったとします。
しかし、周囲には人がいます。
人に泣いているところを見られてしまうと恥ずかしいし、弱みをみせたくありません。
そのため、本当は泣きたいけれど、涙をぐっとこらえました。
これを「泣きたい気持ちを忍ぶ」といいます。
恥ずかしいことはできるだけしたくないものです。
やりたくもない恥ずかしいことをするのは、精神的なつらさがあります。
しかし、どうしてもそれをやらなければならないことがあります。
そのようなときのことを「恥を忍ぶ」といいます。
もう一つの意味は、自分のことを外から見えないようにする、人から気づかれないようにするです。
忍者の行動がこれにあてはまります。
忍者は敵などに近づくとき、その相手にできるだけ気づかれないようにします。
戦国武将が馬に乗って正面から敵陣に向かっていくさまとは異なるのです。
忍者は、足音を立てず、気配を消して移動をします。
このようなさまを意味する言葉です。
「忍ぶ」の使い方
人に気づかれないようにするという意味合いで使用をします。
つらいことに耐えていると、そのつらさは他に気づかれることがありません。
気配を消すと他の人に気づかれにくくなります。
「偲ぶ」とは?
「偲ぶ」には3つの意味があります。
1つめは、過去の物事、離れた場所にいる人、離れた所などを懐かしむことです。
子供のころは田舎に住んでいて、現在は都会に住んでいる人がいたとします。
都会は便利な点がありますが、この人は自然が好きで田舎での暮らしを好んでいました。
子供のころに住んでいたところが懐かしいのです。
また、その場所にはよい思い出があり、そのときのことを思い出すと懐かしく感じです。
これは「故郷を偲ぶ」と表現できます。
2つめは、心をひかれて好ましく思う、思いめぐらすです。
ある人の家にお邪魔させてもらいました。
その家のインテリアは素晴らしく、この住まいの持ち主の様子がうかがえます。
これは「人柄が偲ばれる住宅」と表現できます。
3つめは、物の素晴らしさに心を動かされて味わうです。
「偲ぶ」の使い方
いくつかの意味がありますが、懐かしく思うという意味で使用されることが多いです。
「忍ぶ」と「偲ぶ」の違い
どちらの言葉も「しのぶ」と読み方が同じですが、意味は異なります。
「忍ぶ」は見えないようにすること、気づかれないようにすることです。
「偲ぶ」は懐かしく思うことです。
「忍ぶ」の例文
・『人目を忍ぶ』
・『忍ぶ恋』
・『恥を忍ぶ』
「偲ぶ」の例文
・『○○さんを偲ぶ会』
・『○○さんを偲ぶ花が届けられた』
・『彼を偲ぶ内容の言葉だった』
まとめ
「しのぶ」と読みは同じですが、意味は異なります。