相手に気を遣わせることなく、さりげなく褒めてその場の雰囲気を向上させる魔法のワードとして「素敵」という言葉が挙げられていることがあります。
確かに、例えば男性の上司に対して「今日のネクタイ、センスいいですね」よりも、「今日のネクタイ、素敵ですね」の方が、上から目線も感じることもなく、素直に喜べる気はします。
それでは、ここで使用した「素敵」とはどういう意味なのでしょうか。
また、同じように使われる「素晴らしい」とはどう違うのでしょうか。
この記事では、「素晴らしい」と「素敵」の違いを分かりやすく説明していきます。
「素晴らしい」とは?
「素晴らしい」とは、「とても優れていてすごい」ことを表した言葉です。
「素」には、「そのままで」と言う意味があるので、「晴れ」と合わせることによって、「そのままの状態でも晴れのようだ」とも言えます。
この言葉は、元々は「とてもダメなこと」を示す言葉でしたが、最近の「ヤバい」と同じように、良いことにも使われるようになり、やがて、悪い方の意味ではあまり使われなくなりました。
英語では、単純に「excellent」とは、「wonderful」で良いでしょう。
「素敵」とは?
「素敵」とは、「とても好ましい」と言うことを表す言葉です。
今はこの漢字を使うことが多いですいが、元々は「素的」で、「そのままであること」を表しました。
つまり、暗に、「そのままでも良い」と言う意味になります。
なぜ同音の「敵」が使われるようになったかは、定かではありませんが、前述の「ヤバい」の例のように、悪い意味が良い意味になったり、逆のケースもよくあるので、その一つだと考えられます。
英語では、「lovely」とか、「charming」が近いでしょう。
「素晴らしい」と「素敵」の違い
「素晴らしい」と「素敵」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つの言葉は、対象に感銘を受けたり、褒める言葉としてよく使われるという意味では同じですが、本来の意味は違います。
最も大きな違いは、どのような状態に対して感銘を受けたのかということです。
「素晴らしい」は、対象が並のものよりも「優れている」と言うことに、そして、「素敵」は、対象が「自分の好みであること」に感銘を受けているということになります。
すなわち、「素晴らしい」には、ほとんどの場合は比較対象があるが、「素敵」には比較対象がなくても構わないと言えます。
「素晴らしい」の例文
「素晴らしい」の例文は以下のようになります。
・『あなたが書かれた文章は、感情の表し方が素晴らしいと思いました』
・『普段行くことがない海外への旅行は、国内旅行では味わえない感動を得られる素晴らしいものです』
「素敵」の例文
「素敵」の例文は以下のようになります。
・『あの人の着ているものは全て素敵ですね』
・『使われた言葉遣いが素敵だったので、普段から言葉に関しては気を使っていらっしゃると感じました』
まとめ
この記事では、「素晴らしい」と「素敵」の違いを、解説してきました。
序文で述べてように、「素敵」や「素晴らしい」と言う言葉は、上下関係や性別に関わらず安全に使用できる褒め言葉としては優秀です。
しかし、よく考えてみるとこの言葉は何を褒めているのか分からないとも言えます。
例えば、簡単に使用して、「で、何が素敵なの?」と返されたら困ってしまいます。
妙に穿った見方の人に対しては、その意味で逆効果になってしまうことも考えられるので、使用するのを考えた方が良いケースもあり得るでしょう。