この記事では、「存在論」と「実在論」の違いを分かりやすく説明していきます。
「存在論」とは?
「存在論」とは、「存在そのものや存在の意味・定義づけなどについて根本的に考えていく哲学の主要な分野の一つ」を意味しています。
「存在論」は、「オントロジー(ontology)と呼ばれる古代ギリシア哲学から現代思想にまで連綿と続いている存在そのものを探求する哲学・学問」なのです。
哲学史の主なカテゴリーとして「存在論・認識論・価値論(意味論)」などがあり、「存在論」は「存在(ある)」が何を意味しているのかを基礎づけから徹底的に考えていく分野なのです。
「実在論」とは?
「実在論」とは、「人間の主観的な意識・精神から独立した客観的(普遍的)な存在があるとする立場の理論・思想」を意味しています。
「実在論」というのは、「(いろいろな理論・歴史的展開がある)存在論の中に包摂されている、客観的な実在があると主張する一つの立場」を指し示しているのです。
「実在論」は「realism」と英語で書きますが、「実在論」は「人の精神活動とは切り離された客観的存在あるいは普遍的概念の実在を認める立場」になります。
「実在論」はウィトゲンシュタインなどの言語哲学では、「原理的に結論を出せない形而上学の擬似問題」として批判されることもありました。
「存在論」と「実在論」の違い
「存在論」と「実在論」の違いを、分かりやすく解説します。
「存在論」は、「実在論も含んで哲学史を貫いている広大かつ長大な一つの哲学分野」を意味しています。
「存在論」という哲学用語は、「何が存在して何が存在しないのか・本当に存在しているものとは何か・存在そのものや存在を成り立たせている根拠」などについて考える哲学の大きな分野です。
それに対して、「実在論」というのは「人間の主観から切り離された客観的な存在というものがあるとする、(いろいろな理論がある)存在論の中の一つの主張・立場」を意味している点が最大の違いとして挙げられます。
「存在論」の例文
・『存在論は古代ギリシアのプラトンも研究していた学問分野ですが、プラトンはこの世界にあるものは仮象に過ぎないとし、真の存在は観念的なイデアであるとしました。』
・『存在そのものや何かが存在する根拠を問う存在論は形而上学であるため、物質的なレベルでの検証実験や観察では答えを導き出すことはできません。』
「実在論」の例文
・『実在論は人間の意識から切り離された実在を認めますが、その実在を物質的なものとする哲学者もいれば霊的なものとする哲学者もいます。』
・『実在論は科学的な方法論でその正しさを検証することができないため、実在論は科学理論としての必要条件を満たしていない仮説になります。』
まとめ
この記事では、「存在論」と「実在論」の意味の違いを分かりやすく解説しましたがいかがでしたか。
「存在論」は「認識論・意味論(価値論)などと並んで哲学を構成している代表的な一分野・存在そのものについて根本的に考える理論」を意味していて、「実在論」のほうは「人の主観的な意識から独立した客観的存在があるとする考え方・認識論において客観的な存在を承認する理論」を意味している違いがあります。
「存在論」と「実在論」の意味の違いや例文を詳しくリサーチしたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。