一般的に、限られた地方でしか通じない言葉というものがあります。
例えば、「モータープール」というのは関西でよく使われる言葉で「駐車場」の意味です。
関東の方にはドライブスルーのプールのように聞こえてしまいます。
特に関西地方でしか使われない言葉として「粗供養」とか「満中陰志」という言葉があります。
これらはお葬式や供養の時に使われるのですが、関東の方にとっては聞いたこともない言葉でしょう。
それでは、「粗供養」、「満中陰志」とはどういう意味でしょうか。
また、2つの違いはどこにあるのでしょうか。
この記事では、「粗供養」と「満中陰志」の違いを分かりやすく説明していきます。
「粗供養」とは?
「粗供養」とは、「そくよう」と読み、元々は「粗末な供養」という意味なのです。
実際の場面においては、「葬儀や法要に出席してくださった方々への返礼品」のことを指す言葉として使用されます。
粗末な法要に参加していただいたお礼の品と言うことで「粗供養返礼品」の略として「粗供養」と呼んでいるようです。
実際に返礼品には「粗供養」と書かれたのしがつけられます。
この言葉は一般的には、西日本でしか使用されないものなので、聞いたことがないという方も多いでしょう。
「満中陰志」とは?
「満中陰志」とは、「中陰」が「四十九日」のことなので、「四十九日が満ちた(終わった)時の寸志(お礼)」のことを指す言葉です。
従って、この言葉を使用できる、すなわち「満中陰志」と言うのしを使用できるのは四十九日の法要の後だけです。
この言葉も西日本でしか使われない言葉です。
「粗供養」と「満中陰志」の違い
「粗供養」と「満中陰志」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つの言葉は、主に西日本において、香典などのお返しを意味するものとして使われていますが、元々の意味は違います。
大きな違いは、いつ送られるものかということです。
「粗供養」は、葬儀の後に出席者に送るもので、「満中陰志」は、四十九日の法要の後に、それまで出席してもらった方々に対して送るものです。
ただ、前述のように、「粗供養」に関しては葬儀の後に限定せず、全ての法要の後に送るものという使い方もするので、気をつける必要があります。
「粗供養」の例文
「粗供養」の例文は以下のようになります。
・『粗供養品は持ち帰りやすいものが良いでしょう』
・『粗供養の熨斗は東京ではあまり見ることがありません』
「満中陰志」の例文
「満中陰志」の例文は以下のようになります。
・『海苔は満中陰志としてよく贈られるものの一つです』
・『満中陰志の相場はいただいた香典の半額程度と言われています』
まとめ
この記事では、「粗供養」と「満中陰志」の違いを、解説してきました。
これらは、特に関西地方でしか使われない言葉であることは説明しました。
このような言葉は、他にもたくさんありますが、例えば京都でおかずのことを「おばんざい」と言うと思っている方が多いと思います。
しかし、実は現代の京都の方は「おばんざい」と言う言葉は使いません。
これは、古い表現が地方の独特の言葉のように勝手に解釈されて広まったものなのです。
思い込みというのは恐ろしいものです。