世の中には「?交友録」という表題で刊行されたエッセイの類が山のようにあります。
そして、その内容は自分の周りで付き合いがある人々の面白い逸話をちりばめたものです。
さまざまなエッセイの中でも、おそらくもっとも書きやすいものの一つがこの「交友録」でしょう。
必要なのはいかに多くの面白い人が知り合いにいるかということだけなのですから。
さて、ここで使用した「交友」とはいったいどういう意味なのでしょうか。
同音異字の「交遊」とはどう違うのでしょうか。
この記事では、「交友」と「交遊」の違いを分かりやすく説明していきます。
「交友」とは?
「交友」とは、文字通り「友人として交わる」、つまり「友人として交際する」という意味になります。
従って、交際する相手としては友人に限定され、それ以外の関係に関して使われることはほとんどありません。
英語では、「friendship」が近いでしょう。
「交遊」とは?
「交遊」とは、文字通り「交わって遊ぶ」、つまり「遊ぶくらいの付き合いをする」という意味です。
「交遊」は「親しく付き合うこと」だとする意見もありますが、実際には「園遊会」などに代表されるように、「遊」は「親しく」というよりは「ちょっとした」とか「ある程度の」関係であることが多い言葉なので、「交遊」もそのくらいの関係であると考えるのが妥当です。
英語では、「companionship」が近いでしょう。
「交友」と「交遊」の違い
「交友」と「交遊」の違いを、分かりやすく解説します。
これらの言葉は、「人との付き合い」に関するものですが、若干の違いがあります。
それは「付き合う」相手に関するものです。
すなわち、「交友」する相手はすべて「友人」と言える人物であるのに対して、「交遊」する相手は友人のこともありますが、恋人だったり、交際相手だったり、上司だったり、同好の士だったり、さまざまなケースがあり得るという部分です。
しかし、実際には「交友」の方が日常的に使われる頻度が高い言葉です。
「交友」の例文
「交友」の例文は以下のようになります。
・『私の交友録には面白い人間ばかりがいます』
・『あの人の交友関係には大物が多いと噂しています』
「交遊」の例文
「交遊」の例文は以下のようになります。
・『交遊する人物はやはりその人に無いものを持っていることが多いでしょう』
・『不純異性交遊は厳に慎むべきことです』
まとめ
この記事では、「交友」と「交遊」の違いを、解説してきました。
序文では、「交友録」の面白さに関して述べ、面白い友人がいればこの類のエッセイは描けるように記述しましたが、実際にはそんなに簡単な話ではなく、まず、誰を取り上げるか、どの出来事を取り上げるか、関連する事実のうちのどこを切り取るか、どういう展開にするか、どんな文体で何に重きを置くかなど、作家の力量が出やすい作品とも言えます。
従って、「交友録」系のエッセイがうまい作家は他の作品も面白いという評論家もいます。