この記事では、「小者」と「小物」の違いを分かりやすく説明していきます。
「小者」とは?
「小者」には3つの意味があります。
1つめは身分の低い奉公人です。
奉公人とは、他人に家に雇われて家事やその家の仕事をするもののことです。
江戸時代ころから、この名で呼ばれるようになりました。
江戸時代、大きな店では家族だけでなく、雇いの人をいれていました。
家業を手伝ってくれたり、家事をしてくれたりする人です。
奉公人といっても階級のようなものがあり、その中でも低い身分のものを「小者」といいます。
2つめの意味は、武家で雑用をあてられた者です。
武家では、その人や家の世話をしてくれる人が雇われることがあります。
この人は武士ではありません。
雇われる人は、それぞれあてられる仕事が違い、その中で雑用に使われる人をこの言葉は意味しています。
3つめは年齢が若い人のことです。
「小者」の使い方
身分の低い奉公人を指して使用する言葉です。
現代では日常的に使うことはありません。
時代小説や時代ドラマなどで使われることがあります。
「小物」とは?
「小物」には5つの意味があります。
1つめは、小さいものです。
何かの付属品のことも意味します。
たとえば、手のひらサイズのポーチ、ピアス、鉛筆、メイク道具などがこれにあたります。
この言葉が指すものは、さまざまあります。
2つめは、たいしたものではない人です。
大物に対する語です。
勢力や影響力がない、器量が小さいといった人のことを指します。
3つめは小さい魚のことや、つまらない魚のことです。
大きな魚という意味の大物に対する語になります。
特定の種を指す言葉ではありません。
小さな魚には、タモロコやメジナなどがいます。
4つめは劇場や寄席などで客に貸し出す座布団やタバコ盆などのことです。
5つめは、メインとなる料理とは別に出す、ちょっとした食べもののことです。
漬物などがこれにあたります。
「小物」の使い方
こまごましたもの、小さなものといった意味で使われることが多いです。
「小者」と「小物」の違い
どちらの言葉も「こもの」と読みますが、意味は異なります。
前者は奉公人のことです。
身分が低い奉公人なので、大物に対して大したことのない人といえるかもしれませんが、その意味はありません。
後者は小さな物のことです。
人についての意味もあり、その場合は大したことのない人という意味になります。
「小者」の例文
・『小者を遣いにやる』
・『小者の役を演じる』
・『小者を呼んでこい』
・『小者に用事を頼む』
「小物」の例文
・『黒の小物をあわせるとおしゃれです』
・『小物を入れるのに便利なケース』
・『小物を集めるのが趣味です』
・『机の上には小物が広げられていた』
まとめ
2つの言葉はどちらも「こもの」と読みますが、意味が異なります。
一方は奉公人のこと、もう一方は小さなもの、大したことのないものを意味します。