一見同じ意味のように思える「論及」と「言及」には、どのような違いがあるのか。
この記事では、「論及」と「言及」の違いを分かりやすく説明していきます。
「論及」とは?
「論及」とは、論じてそのことにまで言い及ぶといった意味があります。
「論及」の「論」は、論じるの「論」です。
この漢字には、物事の道筋を述べる、述べたもの、といった意味があり、意見を言い交わす際に用いられる漢字となります。
その意味から、「論及」にも、意見を戦わせるまで言い及ぶといった意味があります。
何か、意見を交わす際、そのことやその人に対し深く、そして、強く問いただす行為を意味し、一方的な質問だけではなく、相手からも質問される場合もあります。
そのため、「論及」の場合、お互いに意見を交わし納得するまで及ぶ場合も少なくありません。
「論及」の使い方
「論及」の場合、「論及する」や「論及した」といった使い方が基本です。
「言及」とは?
「言及」とは、言い及ぶことを意味します。
何か話をしていた際、その話と関連することまで話が広がるといった意味があるほか、物事に対し対象となる人物を問いただす、といった意味もあります。
何か一つの物事に対し追い求める姿勢が「言及」となります。
ただし、「言及」の場合、追求する姿勢は強いものの、その件に対し深く追い求めることはありません。
「言及」の使い方
「言及」の場合、「言及する」や「言及した」、「言及される」などといった使い方が基本です。
「論及」と「言及」の違い
「論及」と「言及」は、同じように相手を問いただすといった意味を持ちます。
そのうえで、「論及」の場合、その件に対し深く追及する姿勢が強く、納得できるまで、その内容に対し深く相手に追求します。
そのため、相手からも何らかの質問や攻撃を受けることもあります。
それに対し、「言及」の場合は、あくまでも、一つのことについて追及するのみとなります。
あまり深く追及することはありません。
「言及」の段階で深く追及する様になれば、それは、「言及」ではなく「論及」に代わっていると言えるのです。
「論及」の例文
・『今回の件に対しては、細部まで論及させて頂くつもりです』
・『使途不明金があったことに対し論及する』
・『どれだけ論及したところで、きっと、答えは出ないだろう』
・『なぜ、このようなことになったのか妻に対し論及した』
「言及」の例文
・『私は、この件に対し言及しないほうがベストだと思います』
・『今回は、あえて昔の事件について言及させて頂きます』
・『相手の様子から、ここはあえて核心部分の言及は避けたほうが良いと思われます』
・『この問題に対し、言及する必要はありません』
まとめ
以上のように「言及」をより深く追及した行為が「論及」です。
そのため、初めは「言及」のつもりでも、ヒートアップすることで「論及」に替わっていたという場合も十分に考えられます。