「惹く」と「引く」は類似した意味を持つ言葉です。
「惹く」という表現は「彼女の性格に惹かれました」といった文章で使い、「引く」という表現は「ロープを引いて木に結びつけました」などの文章で使われますが、「惹く」と「引く」の意味の違いはどこにあるのでしょうか?
「惹く」の意味や使い方
「惹く」という表現は、「相手(他者)の注意・興味・関心・好意・欲求などを、自分の側へと向けさせること」や「恋愛・異性関係において相手の好意を向けさせて魅了すること」を意味しています。
「惹く」という表現の使い方は、「相手(他者)の注意・興味関心・好意・欲求などを、自分に向けさせる場合」に使うという使い方になります。
例えば、「この新書のテーマが私の興味を惹きました」や「彼女の目線に惹きつけられます」といった文章で使用することができます。
「引く」の意味や使い方
「引く」という表現は、「物理的に自分の側へと引き寄せること」や「引き寄せて導いたり操ったりすること」を意味しています。
また「引く」には、「線の状態で伸ばすこと」や「出ているものが遠くへ去ること」といった意味合いもあります。
「引く」という表現の使い方は、「物理的に手前に引き寄せる場合」や「痛み・感情などの出ていたものが去る場合」などに使うという使い方になります。
例えば、「レバーを引いて水門を開く」や「怒りの感情が引いた」などの文章で使えます。
「惹く」と「引く」の違い
「惹く」という表現は、「他者の興味関心・好意・注意などを自分に向けさせること」や「異性の注意を引きつけて魅了すること」を意味しています。
それに対して、「引く」という表現は、「物を物理的に手前に引き寄せること」や「出ているものが遠くに引っ込むこと、去ること」、「線状に伸ばすこと」などを意味しているという違いがあるのです。
そのため、「美しい容姿が人の目を惹く」と書きますが、「美しい容姿が人の目を引く」とは通常書けないのです。
同様に「レバーを引く」の文章も、「レバーを惹く」と書くことはできません。
「惹く」を使った例文と意味を解釈
「惹く」を使った例文を紹介して、その意味を解釈していきます。
「彼女の可愛い笑顔と優しい言動は、いつも男性たちの心を惹きつけていました」
この「惹く」を使った例文は、「惹く」という表現を、「いつも男性たちの心を魅了していた(男性たちの関心・好意を集めていた)」という意味合いで使っています。
「引く」を使った例文と意味を解釈
「引く」を使った例文を紹介して、その意味を解釈していきます。
「ロープを強く引いて、船が強風と高波で動かないように波止場に固定しました」
この「引く」を使った例文は、「引く」という表現を、「ロープを物理的に強く手前(自分側)に引き寄せて」という意味合いで使っています。
まとめ
「惹く」と「引く」の意味の違いについて説明してきましたが、「惹く」の表現は「他者の注意・興味関心・好意を自分に向けさせること」に意味の重点があります。
それに対して、「引く」の表現は多義的であり、「自分の側に物理的に引き寄せること・出たものが遠くへ去ること」に意味の重点があります。
「惹く」と「引く」の意味の違いを正しく理解して、内容や文脈(状況)に応じて適切に使い分けるようにしましょう。