同じような様子を指す言葉として使われることが多い「廃れる」と「寂れる」ですが、どのような意味の違いがあるのでしょうか。
今回は、「廃れる」と「寂れる」の違いについて解説します。
「廃れる」とは?
「廃れる」とは、「今まで使われていたものが使われなくなること」という意味の言葉です。
「廃れる」には「勢いが衰える」という意味があります。
これまでは広く普及していたり人気だったりしたものが時代の流れや社会の移り変わりによって「だんだんと勢いに陰りが見えていきやがて使われなくなり消えてしまうこと」を指して「廃れる」と表現します。
ただ使われなくなったり消えたりするのではなく一時的であったとしても「隆盛を誇ったものの勢いが衰える」ことを指す言葉なので全く流行らなかったものや勢いのなかった物に対して使われることはありません。
ブームになったものや普及したもの、高い認知度を誇ったものなど「獲得したシェアや人気が減少してついには消えてしまう」のが「廃れる」の意味合いです。
「廃れる」の意味は対義語である「流行る」を考えてみると理解がはかどります。
「流行る」とは「その時に人気があり世間に広く知られること」です。
「廃れる」はその正反対の意味を持つ言葉なので「時代における人気がなくなり世間から忘れ去られること」を表しています。
「廃れる」の使い方
・『一時は大人気だったポケットベルだが、スマホの時代になれば廃れるのも当然だ』
・『皆が自動車に乗るようになったためにローカル線が廃れる』
・『あれだけもてはやされた人気ラーメン店だが、ブームが去った今ではすっかり廃れている』
・『工場が移転してしまったら町が廃れることになってしまう』
「寂れる」とは?
「寂れる」とは、「以前のような活気が失われてしまうこと」を意味する言葉です。
「寂れる」には「さびしい」という意味合いがあります。
「人の気配や温もりがなく孤独感を感じる」のが「さびしい」であり、「寂れる」にも「人が少なくなったことで衰える」というニュアンスが含まれています。
「寂れる」は以前と比較した今の状態を表す言葉です。
そのため言葉が使えるのは「以前は人が多く活気にあふれていた」という前提条件を満たしているときのみに限定されます。
「かつてのような人出が失われて静かになってしまった」状況を表すのが「寂れる」であり、昔から活気がなかった場所に対して使うことはありません。
「寂れる」の使い方
・『温泉が枯渇してしまったために旅館街がすっかり寂れてしまった』
・『少子化の影響でこの辺りも寂れる一方だ』
・『寂れるばかりの地元を活性化させるために青年会が立ち上がった』
・『人気だったお店が寂れるのを見ると胸が締め付けられる』
「廃れる」と「寂れる」の違い
「廃れる」と「寂れる」の違いは「人のにぎわい」です。
「廃れる」は流行り廃りという言葉でもわかるように世間における人気や知名度を意味する言葉です。
多くの人が知っていたものが忘れ去られる、使われなくなるなど人々の間から興味関心が失われることを表しています。
「寂れる」には「さびしい」という人が少ないことで感傷的になるというニュアンスが含まれています。
表しているのはその場所における人出や人のにぎわいであり、それらが失われてしまいさびしくなってしまったことを意味する言葉です。
まとめ
「廃れる」と「寂れる」は似たような場面で使われる言葉ですが具体的な意味合いには違いがあります。
どのような状況を指すのかをよく考えてふさわしい言葉を使いましょう。