この記事では、「過誤」と「錯誤」の違いを分かりやすく説明していきます。
「過誤」とは?
不注意などによって生じた失敗、やりそこなうという意味です。
法律に関係する事柄の意味もあります。
医療現場では、うっかりミスは許されません。
もしも、うっかり失敗をしてしまったら、患者さんの命に関わる可能性があります。
たとえば、ある人に栄養を与えるための点滴をしようとしていたとします。
それなのに、別の患者さんに与えるはずだった循環器用の点滴をしてしまいました。
本来なら、ある患者さんにはこの薬、別の患者さんにはこの薬と、しっかりと管理されていなければなりません。
人間は誰でも失敗をすることはありますが、医療現場ではそれは許されないのです。
そうであるにもかかわらず、失敗をしてしまいました。
これを「医療過誤」といいます。
放射線は非常に危険なので厳格に管理されています。
管理に過ちがあってはいけません。
もしも管理に過ちがあり、放射線が漏れてしまったら、周囲の人たちに大きな被害が及ぶ可能性があります。
しっかりと管理されていなければならないはずのものなのに、不注意によって放射線が漏れてしまったとします。
これもこの言葉が意味するものです。
「過誤」の使い方
不注意によって生じた失敗、過失という意味で使用をします。
法律にかかわる事柄に使われることが多いです。
日常生活の失敗には、ほとんど使われません。
たとえば、塩を入れるはずだったのに、うっかり砂糖を入れてしまったのは、不注意による失敗といえますが、このことを指しては使用しません。
「錯誤」とは?
「錯誤」には3つの意味があります。
1つめは、しそこなう、本来のあるべきものとは違うです。
BGMを作ることで説明をします。
ある映像にぴったりなBGMを作りたいです。
しかし、何度か作ってみても「これだ」と思うものができません。
そのため、何度も何度もやってみました。
このことを「試行錯誤」といいます。
2つめの意味は、その人の認識と、主体を離れて認識される事実とが一致しないさまです。
ある人は、長男が家を継ぐものだと考えていたとします。
しかし、現在は家を継がなくてもいい、継ぐのは長男でなくてもいいという考えが広まっています。
ある人の認識と世間の実態とが一致していません。
このことを「時代錯誤」などといいます。
3つめは、民法上、意思表示をした者の心のうちの意思と、表現される行為とが食い違っていることを、意思表示者自身が知らないことです。
「錯誤」の使い方
しそこなうという意味や、本人の認識と主体を離れて認識される事実とが食い違っているという意味で使用をします。
「過誤」と「錯誤」の違い
どちらの言葉にも「誤」という漢字が使用されている点が似ていますが、意味合いが異なります。
「過誤」は不注意による失敗、過失のことです。
「錯誤」はしそこなうことや、意識と事実の食い違いのことです。
まとめ
「誤」という漢字が使われている点が似ていますが、意味は異なる言葉です。