企業の関係性を示す言葉に「子会社」と「傘下」があります。
どちらもグループ企業の説明でよく耳にする言葉ですがどんな違いがあるのでしょうか。
今回は、「子会社」と「傘下」の違いについて解説します。
「子会社」とは?
「子会社」とは、「経営権や運営権を他の会社によって保持されている会社」を指す言葉です。
法律的には「子会社」は会社法の第2条第3号によって定義されています。
その定義を簡単に説明すると「議決権付きの株主のうち過半数以上を他の会社によって保有されている会社」が「子会社」となります。
一般的には「子会社」といえば「別の会社が持ち主となっている会社」という意味で使われています。
会社の所有権は株式という形で取引されるので、株主総会において実質的に単独での議決が可能になる「株式の過半数を自社以外の会社に所有されている会社」が「子会社」です。
「子会社」を所有している会社のことを「親会社」と呼びます。
「親会社」と「子会社」は各国に存在しますが国により定義が異なり、国によっては子会社が認められていない場合もあります。
「子会社」の使い方
・『子会社かを目的とした株式公開買い付けが行われる』
・『人事異動で子会社に出稿することになった』
・『子会社を立て直した実績を買われて役員に抜擢された』
・『地方の企業を買収し子会社化を進める』
「傘下」とは?
「傘下」とは、「勢力の所属し影響下にあること」を意味する言葉です。
雨の日に傘をさすと傘を指している部分だけ雨に濡れずに済みます。
濡れていないのは傘があるおかげですが、傘の影響でぬれることがないように特定の勢力や権力の影響力にあるおかげで守られたり得をしたりする状態にあることを「傘下」と表現します。
会社関係における「傘下」とは「幅広く影響力や関係性における上下関係」という意味で使われています。
基本的にはある会社が別の会社を支配している状態が「傘下」ですが、パートナーシップや業務提携などでもどちらか一方の影響力が強く影響している場合は「傘下」と表現します。
法的なルールや制度などはなく一般的な用語として使われている言葉なので「傘下」であるかどうかは人により判断が異なります。
「傘下」の使い方
・『大企業の傘下に入る』
・『参加の企業を合わせると1000社を超える大きなグループだ』
・『経営再建のために傘下に入ることになった』
・『どの企業の傘下にも入ること無く独立独歩で経営を続けている』
「子会社」と「傘下」の違い
「子会社」と「傘下」の違いは「株式」です。
「子会社」は別の企業によって株式の過半数を保有されている状態を指す言葉です。
実質的にも法律的にも「子会社」は「親会社」のものとして扱われます。
「傘下」は株式を保有している企業以外も含まれます。
過半数には達していないが大株主となっている企業や取引を独占し実質的に生殺与奪の権利がある下請け企業などさまざまな形で影響力が及んでいる企業や支配的な関係にある企業を総称して「傘下」と表現します。
まとめ
「子会社」と「傘下」は似た意味で使われることも多いですが厳密な違いがある全く別の言葉です。
法的な定義で区別されるので混同しないように注意してください。