大地から食料を生産する行為を指す言葉として「農耕」と「農業」があります。
このふたつはいったいどのような違いで使い分けられているのでしょうか。
今回は、「農耕」と「農業」の違いについて解説します。
「農耕」とは?
「農耕」とは、「大地を耕して田畑を作り作物を栽培して食料を得ること」を意味する言葉です。
「農耕」が意味するのは「土を耕して作物を育てる行為」そのものを指します。
汗水たらして働くのが「農耕」であり、「田んぼや畑など人の手によって植物を栽培するのに適するよう整備された場所を利用して食べるための作物を育て収穫する行為」を意味します。
その他にも「自然の大地を利用する」「食料として生産されるのは植物のみ」「なにもないところに一から田圃や畑などを作り上げる」と言った条件をみたすものが「農耕」と呼ばれますが、現在では厳密な定義を当てはめることは少なく「土を相手に行われる農作業のこと」を「農耕」と呼んでいます。
「農耕」の使い方
・『人類の歴史は農耕により大きな転換点を迎えた』
・『農耕の発達により豊かになった食料生産が人口増加のきっかけになった』
・『遺跡調査を進めた結果、古代にこの土地で農耕が行われていたことがわかった』
・『人里離れた土地で気ままな農耕生活を贈りたい』
「農業」とは?
「農業」とは、「自然を利用して植物を栽培したり動物を育てるなどして食料になる作物を得る活動」を意味する言葉です。
一般的には「食料を生産するための活動」のことを「農業」と呼んでいます。
田んぼでお米を育てたり畑で野菜を作ったり牧場で豚を飼育したりなど、自然の力や場所を利用して食べるためのさまざまな作物を作る行為全般をさして「農業」と表現します。
広義では食料を生産する活動以外の「自然から植物資源を得る活動」も「農業」に含まれます。
タバコや香料の原料になるハーブなどの栽培は食料にはならないものの人間にとって有益な植物資源なのでこれらの生産活動は「農業」に含まれます。
その他にも建築資材として有益な木材を育てる林業も広義では「農業」として扱われます。
「農業」の使い方
・『田舎に移住して農業をやって暮らしたい』
・『農業で生計を立てるのは簡単ではない』
・『国内の農業を保護するには手厚い補助金が必要だ』
・『フランスはヨーロッパを代表する農業大国である』
「農耕」と「農業」の違い
「農耕」と「農業」の違いは「酪農や牧畜を含むかどうか」です。
「農耕」が意味するのは土を耕して作物を育てる作業です。
対象になるのは植物を栽培して食料を得る活動のみで牛や豚を育てて食料を得る酪農や牧畜は含みません。
「農業」は自然を利用して食料資源や有益な植物資源を得る活動を指します。
田畑を工作して食ぶうを栽培する活動のほか牛や豚を育てて食肉を得たり牛乳を絞ったりといった酪農や牧畜も含みます。
穀物や野菜を育てるのが「農耕」、穀物や野菜だけでなく肉や卵なども生産するのが「農業」という違いがあります。
まとめ
「農耕」と「農業」は同じものだと思われがちですが実際には全く異なる内容を表しています。
使い間違えることのないようにそれぞれの意味を正しく覚えておいてください。