「一任」と「委任」の違いとは?分かりやすく解釈

「一任」と「委任」の違い言葉・カタカナ語・言語

権限を任せることを意味する言葉として「一任」「委任」があります。

このふたつの言葉はどのような違いで使い分けられるのでしょうか。

今回は、「一任」「委任」の違いについて解説します。

「一任」とは?

「一任」とは?

「一任」とは、「すべての権限を預け一切をまかせること」を意味する言葉です。

「権限や判断の一部だけではなくまるごと全てをまかせる行為」「一任」と表現します。

本来の権限を有する人物は「一任」した後に口を出したり意見を挟んだりすることはなく、どのような結果であろうとも任せた相手の決断に従います。

一般的には「権力や権限のある上のものが下のものに判断を任せる」ときに使われますが「下の人間が上の人間の決定に従う」という意味で「一任」という表現が使われることもあります。

「一任」には「一切合財をまかせる」という意味なので「少しの漏れもなくすべて」を指します。

「全て一任する」というのはすべてが重複する間違った表現です。

「一任」の使い方

・『新規出店についてはエリアマネージャーに一任している』
・『部下の処遇については部長に一任している』
・『財産の運用は信頼しているファンドマネージャーに一任している』
・『経営を支社長に一任した結果、独裁的なふるまいで最悪な状況に陥った』

「委任」とは?

「委任」とは?

「委任」とは、「権限をゆだねまかせること」を意味する言葉です。

「委任」「委」には「他人に行なわせる」という意味があります。

「委任」が意味するのは「他人にまかせて行わせること」です一般的には「信頼や信用を裏付けとして決断に必要な権利や権限を預け自分の身代わりとして行動させること」を表します。

「委任」は他人を自分の代行に建てるときに使われる表現です。

自分と同様の権利や権限をまかせることになるので軽々しく実行されるものではありません。

正式な手続きを経て「委任」された者は「委任」した者の正式な代理人として本人と同様の扱いを受けることになります。

判断や決断のすべては「委任」した本人が行ったのと同じものとして扱われます。

「委任」の使い方

・『株主総会に出席できないので委任状を提出する』
・『全権委任された特使が派遣されてくる』
・『法的な手続きについては弁護士に委任している』
・『間接民主主義をとる日本では首相を選ぶ権限を国会議員に委任する形になっている』

「一任」と「委任」の違い

「一任」と「委任」の違い

「一任」「委任」の違いは「まかせる範囲」です。

「一任」は預けた権限が及ぶ範囲すべてをまかせています。

権限が及ぶ範囲内であればどのような決断をしようとも認められます。

ここはいいけれどあそこはダメといったような制限が設けられていない、全部をまるごと任されている状態を指す言葉が「一任」です。

「委任」も同じく権限を預けてまかせることを意味しますが、こちらは権限の及ぶ範囲が限定されています。

特定の仕事や行為に限って人にまかせる行為が「委任」であり任された範囲以外のことに関しては権限が及びません。

すべてを任せるのが「一任」、部分的にまかせるのが「委任」という違いです。

まとめ

まとめ

「一任」「委任」は一般的にも使われる表現で特にビジネス業界や政治の世界など権限が絡む場面でよく用いられます。

権限に関わる非常に重い言葉なので意味を間違えることのないように正確に理解しておきましょう。