似ているようで違う意味の言葉に「緩慢」と「散漫」があります。
具体的にはどう違うのでしょうか。
今回は、「緩慢」と「散漫」の違いについて解説します。
「緩慢」とは?
「緩慢」とは、「ゆっくりとしていて遅いこと」を意味する言葉です。
「もっとテキパキと素早くあってほしいのにスピードが上がらずゆっくりしていること」を指して「緩慢」と表現します。
「緩慢」の「緩」は「締まりがない」「手ぬるい」など「だらけていてピリッとしていない」という意味を持つ感じです。
「緩慢」の「慢」には「ゆるやか」「ぼーっとしている」といったような意味があり、ふたつの言葉を合わせた「だらけていて締まりがなくのろのろしている」という意味を表すのが「緩慢」です。
基本的には人や物の動きに対して使われる言葉で「本来はもっとスピードが出るはずなのにででおらずのろい様子」を意味します。
手を抜いていたりいい加減だったりして動作が遅い様子を表す際に用いられますが、病気などの原因によりスピードが遅くなっている場合や亀のように生まれつき動作がゆったりしている場合にも用いられる表現です。
「緩慢」の使い方
・『緩慢なプレーのせいで失点してしまった』
・『亀の動作が緩慢なのは自然なことだ』
・『ずっと寝たきりだった影響からか動きは緩慢だが顔色はいい』
・『上司に緩慢な仕事ぶりを注意される』
「散漫」とは?
「散漫」とは、「まとまっておらずあちこちに散っていること」を意味する言葉です。
「本来であれば一点に絞られるのが好ましいのにできておらずあちこちに散らばっている様子」を指す言葉です。
舞い上がった砂粒が散らばって落ちたり狙ってはなった矢が中心に集まらずあちこちに刺さっている様子を指して「散漫」と表現します。
一般的には心のありようや気持ちなど精神的な働きに対して使われることが多く、「集中力に欠けている」という意味で使われます。
目の前のことに集中すべきなのに他のことに気を取られたり目移りしたりして身が入らない様子に対して使われる表現です。
「散漫」の使い方
・『注意力散漫だと事故が起きやすい』
・『狙いが散漫で何が主題なのか伝わりにくい』
・『経営方針が散漫だったせいで手を広げすぎてしまった』
・『歩きスマホのような散漫な行動は危険である』
「緩慢」と「散漫」の違い
「緩慢」はさまざまな理由で動作がゆっくりのろのろしたものになっている様子を表す言葉です。
身体性に対する表現であり見て取れる動きの遅さに対して使う言葉なので状況にかかわらず動きがゆっくりしていない物事に対しては使われません。
ゆっくり、という表現はただスピードが遅いだけではなく本来期待されるべき動作と比較して遅いときに用います。
「緩慢」も同じく理想的なスピードと比べてゆっくりしていて遅さが感じられるときにつかう表現です。
「散漫」は主に精神性に使われる言葉で集中できていない様子を表します。
似たような表現として「気もそぞろ」「落ち着きがない」などがありますが、目の前のこと以外の物事に気を取られている様子を表す言葉です。
ゆっくりとした体の動きを指すのが「緩慢」、集中できていない気持ちの揺れを指すのが「散漫」とそれぞれ体と心の様子を表すという違いがあります。
まとめ
「緩慢」と「散漫」は全く違う意味を持つ言葉です。
間違えて使うと意味が大きく変わってしまうので注意してください。