話し合いを意味する言葉として「協議」と「折衝」があります。
似たような意味に思われがちなこのふたつの言葉はどのような違いで使い分けられるのでしょうか。
今回は、「協議」と「折衝」の違いについて解説します。
「協議」とは?
「協議」とは、「一定の結論を得る目的ですべての参加者が対等な立場で意見を出し合い話し合うこと」を意味する言葉です。
「協議」を簡単に説明するならば「協力しての話し合い」です。
ひとくちに話しあいと言っても目的や参加者の姿勢はさまざまです。
共通する目標に向かって一致団結して行われる話し合いもあればそれぞれの思惑がバラバラで到底まとまらないような話し合いもあります。
数ある話し合いのうち「参加者全員が対等手の立場かつ協力的であり合意に向けて前向きに進められる話し合い」が「協議」です。
行われる話し合いの内容は「相談」が中心なので対立が起きることは少なく比較的穏やかに話し合いが進められます。
知恵や意見を出し合い有益な結論をだすのが参加者全てに共通する目標なので自己主張することはあっても結論を妨害することは少なく、話し合いがこじれたとしても最終的には何らかの形で結論がまとめられる場合がほとんどです。
「協議」の使い方
・『温暖化対策について先進国が集まって協議する』
・『審判団が勝敗について協議している』
・『教科書選定の協議会では特定の教科書に対する異論が相次いだ』
・『市町村協議会で合併について話し合いが行われた』
「折衝」とは?
「折衝」とは、「参加者同士が納得のいく落としどころを見つけるために行われる話し合い」を意味する言葉です。
「折衝」は主に参加者同士が対立していたり敵対していたりなど「利害関係にある者同士の話し合い」に対して使われる表現です。
問題解決のために話し合いが必要なことについては合意しているがそれぞれが利益を主張しているため一筋縄でまとまらないような話し合いが「折衝」であり、多くの場合は「利害を調整し折り合いをつけるための話し合い」という意味で使われます。
「折衝」の使い方
・『両国の交渉官が国境付近に設けられた会場で折衝した』
・『次官級の折衝により捕虜の身柄引き渡しが決まった』
・『メーカーと折衝した結果、取引数量を増やすかわりに値引きすることが決まった』
・『俳優のキャスティングについて芸能事務所と折衝する』
「協議」と「折衝」の違い
「協議」と「折衝」の違いは「参加者同士の関係性」です。
「協議」は参加者すべてが基本的には同等の立場であり表面的には利害による対立はなく、参加者すべてが協力して結論を出すことを目指しています。
「折衝」は参加者同士が利害で対立していて不利な条件であれば話し合いがまとまらなくても構わないと考える場合に使う表現です。
協力的な参加者同士が積極的に結論を出そうとするのが「協議」、対立的な参加者同士が利害調整のために行うのが「折衝」という違いで区別されます。
まとめ
「協議」と「折衝」はニュースなどでよく使われる言葉です。
同じような意味に混同されることも多いですが本来の意味は全く異なります。
何の目的でどんな参加者が行う話し合いなのかに注目して違いを見分けてください。