「買いかぶる」と「過大評価する」はどちらも「実態より高く評価すること」を示す表現ですが、日本語としての種類が異なります。
この記事では、「買いかぶる」と「過大評価する」の違いを分かりやすく説明していきます。
「買いかぶる」とは?
「買いかぶる」は、「人物や物事を実際よりも高く評価すること」もしくは「人物や物事を実態以上に高く信用すること」を意味するほか、「商品を本来の値打ちより高い価格で購入する」という意味も持っています。
もともとは後者の意味のみで使用されていましたが、近代になってから「実態より高く評価する」という意味合いで用いられるようになりました。
「過大評価する」とは?
「過大評価する」は「大きすぎる」や「多すぎる」を意味する「過大」という言葉が使用されていることから、文字通り「人物や物事を実際の価値よりも高く評価すること」という意味を持つ表現です。
また、「必要以上に重要視すること」という意味で使用されることもあります。
「買いかぶる」と「過大評価する」の違い
「買いかぶる」と「過大評価する」はどちらも「人や物事を実態以上に高く評価する」という意味があり、この意味における両者の違いはほとんどないと捉えられているため、それぞれの言葉を言い換えても意味は通じるといえるでしょう。
強いて違いを挙げるとすると、「日本語の語種」が異なります。
「買いかぶる」は「訓読み」から成る言葉なので「和語」に分類されますが、「過大評価する」の場合は「音読み」から成る言葉なので「漢語」にカテゴライズされます。
また、語種の違いから双方の「言葉の響き」などにも違いがあるといえます。
例えば、訓読みである「買いかぶる」は和語が持つとされる親しみやすさが感じられ、意味をストレートに伝えない表現ということもあって言葉の響きにもソフトな印象があります。
一方、漢語である「過大評価する」は少々硬い語感を持ちますが、直接意味を伝える表現であることから率直で明快な印象が感じられます。
「買いかぶる」の例文
「買いかぶる」の意味は「実態よりも高く評価すること」で、人や物事を評価する場面で使用するほか、謙遜の意味で自分に対して用いることも可能です。
・『彼はプライドが高く、自分のことを買いかぶる傾向がある』
・『期待してくれるのは嬉しいが、彼らは私を買いかぶり過ぎている気がする』
・『ピアノ歴は短いので、そんなに私の腕を買いかぶらないでください』
「過大評価する」の例文
「過大評価する」も「実態より高く評価する」という意味を持つ言葉で、使用するシチュエーションは「買いかぶる」とほぼ同じといえます。
・『彼は自尊心が低いのか、自分以外の人間を過大評価する癖がある』
・『私をそんなに過大評価しないでください』
・『最近あの俳優は過大評価されがちだと思う』
まとめ
「買いかぶる」と「過大評価する」はほぼ同一の意味を持つ表現ですが、日本語の語種や言葉の響きに違いがあることが分かります。
双方の持ち味を意識し、状況に応じて言い換えてみましょう。
ぜひ参考にして、日本語に対する知識を深めてください。