犯人をかばうことを罪に問う法律に「犯人蔵匿罪」と「犯人隠避罪」がありますが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「犯人蔵匿罪」と「犯人隠避罪」の違いについて解説します。
「犯人蔵匿罪」とは?
「犯人蔵匿罪」とは、「犯罪事件の犯人に対し隠れる場所を提供してかくまう罪」を指す法律です。
「犯人蔵匿罪」は刑法103条によって規定されています。
刑法を要約すると「罰金刑以上の罪を犯し逃走した犯人を隠匿した者は2年以下の懲役又は20万円以下の罰金」とされています。
「犯人蔵匿罪」の「蔵匿」とは「捜査の手から逃れるために自宅やその他の場所に犯人を隠しかばいだててかくまうこと」を意味します。
積極的に隠れ家などを用意して犯人が逃げる手助けをする罪が「犯人蔵匿罪」です。
一般的には自宅や会社など自分が所有したり権限が及んだりする場所に犯人を匿うことを指しますが、空き家など自分と無関係の場所に犯人を隠す行為も蔵匿に該当するため「犯人蔵匿罪」が成立します。
前提条件として「犯人であることを知っている」必用があるため、知人を家にかくまったが犯罪を犯した犯人だとは知らなかった場合は当てはまりません。
知らずにかくまった者が匿っている途中に犯人であることを知ったのに通報しなかった場合は「犯人蔵匿罪」が成立します。
「犯人蔵匿罪」の使い方
・『逃走した犯人をかくまったとして犯人蔵匿罪に問われる』
・『犯人蔵匿罪の疑いで取り調べを受ける』
・『指名手配犯であると知りながら自宅に住まわるのは犯人蔵匿罪に当たる』
・『罪を犯したものであるとは知らなかったという訴えが認められ、犯人蔵匿罪で逮捕されずに済んだ』
「犯人隠避罪」とは?
「犯人隠避罪」とは、「犯罪事件の犯人に対し逃走を手助けする罪」を指す法律です。
「犯人隠避罪」は刑法103条によって規定される犯罪行為です。
刑法を要約すると「罰金刑以上の罪を犯し逃走した犯人を隠避させた者は2年以下の懲役又は20万円以下の罰金」とされています。
「犯人隠避罪」の「隠避」とは「犯人帯を妨げて逃走の手助けとなる行為」を意味します。
逃走資金の提供や誤情報の流布、身代わりの出頭など「そうすることで捜査が妨害されるもしくは犯人が逃走しやすくなる行為」を指す言葉が「隠避」です。
「犯人隠避罪」はそのような「隠避」を罪に問う法律で広く犯人の逃走を手助けするような行為全般が対象になります。
「犯人隠避罪」の使い方
・『逃走を手助けしたとして犯人隠避罪に問われる』
・『犯人隠避罪の容疑で取り調べを受ける』
・『逃走資金の提供は犯人隠避罪に当たる』
・『居所を知っていながら通報しないのは犯人隠避罪に当たるのだろうか』
「犯人蔵匿罪」と「犯人隠避罪」の違い
「犯人蔵匿罪」と「犯人隠避罪」の違いは「かくまい」です。
自宅その他の場所に追われているものを隠し保護する行為が「かくまい」です。
「犯人蔵匿罪」は逃走している犯人をかくまうことに対する罪です。
「犯人隠避罪」は犯人を手助けしますが家に隠すなどの「かくまい」は行いません。
逃走犯に対する手助けを取り締まる法律のうち「かくまい」を罪に問うのが「犯人蔵匿罪」、「かくまい」以外の行為を罪に問うのが「犯人隠避罪」です。
まとめ
「犯人蔵匿罪」と「犯人隠避罪」は刑法の同じ条文で規定される犯罪ですが構成要件に違いが見られます。
どのような方法で犯人をかばったのかに注目してどちらの言葉を使うべきか判断してください。