この記事では、「尊厳」と「尊重」の違いを分かりやすく説明していきます。
「尊厳」とは?
「尊厳(そんげん)」とは、「とうとぶべき要素があり、おごそかな雰囲気を持っていること」を意味しています。
「尊厳」という表現には、「軽々しく扱うべきではない威厳や重々しさが備わっているさま」といった意味のニュアンスがあるのです。
「尊厳」は、「ある対象(モノ)・人物・理念の犯すことのできない根本的な価値」を示唆していることになります。
例えば、「人間の尊厳を否定するような考え方には賛同できません」のような例文で使用することができるのです。
「尊重」とは?
「尊重(そんちょう)」は、「とうとんで重んじること」を意味しています。
「尊重」という言葉は、「ある人物・考え・物事などについて軽視するのではなくてとうとんで大切にすること、たっとんで重視すること」を指し示しているのです。
「尊重」は「理想的な世界観の尊重」のように名詞としても使えますが、一般的に「彼女のライフワークを尊重したいと思います」のような動詞として使われるケースが多くなっています。
「尊厳」と「尊重」の違い
「尊厳」と「尊重」の違いを、分かりやすく解説します。
「尊厳」も「尊重」もどちらも、「軽んじることなくとうとぶべきもの・人物や理念などをたっとぶこと」といった意味合いを持っています。
ただし、「尊厳」は古語の用法としては「尊厳する」という動詞的な活用もあったのですが、現代語としては「尊厳する」という動詞の使い方をすることはできません。
それに対して、「尊重」は「尊重する」という動詞的な使い方を普通にすることができる点が異なっています。
すなわち、類似の意味を有する動詞的な用法として「尊重する・尊敬する」という言い方はできますが、「尊厳する」という言い方はできないのです。
また「尊厳」の言葉は「尊重」にはない、「重々しい威厳やいかめしい空気感がある」といったニュアンスを持っている違いも挙げられます。
「尊厳」の例文
・『安楽死が人としての尊厳を守るためのものなのか尊厳を傷つけるものなのか、現時点では唯一の正解はないと思っています』
・『児童虐待や性犯罪は人間としての尊厳を侵害する犯罪なので、被害者の早期発見・ケアと手厚いカウンセリングが必要になってきます』
「尊重」の例文
・『どんな文化・人物のどんな価値観でも尊重するというのは、現実的にはほぼ不可能に近いことなのです』
・『彼の主張は尊重すべき価値のない差別的主張であり、ヘイトスピーチにつながる恐れもあるので私は反対します』
まとめ
この記事では、「尊厳」と「尊重」の違いを分かりやすく解説しましたがいかがでしたか? 「尊厳」とは「尊ぶべきもので威厳があること・名詞的に使われる言葉」を意味していて、「尊重」は「尊んで重視すること・名詞でも動詞でも使用される言葉」を意味している点が異なっています。
「尊厳」と「尊重」の意味の違い・例文について詳しくリサーチしたい場合は、この記事の解説をチェックしてみてください。