この記事では、「寂寞」と「寂寥」の違いを分かりやすく説明していきます。
寂しさを伝える言葉を、レッスンしていきましょう。
「寂寞」とは?
寂寞(じゃくまく・せきばく)とは、ひっそりしていて静かなこと。
物音がしなくて、さみしい様子をあらわします。
「誰かがいたら良いのに」と願うような、切なさが込められた言葉です。
「寂寞」には「寂」と「寞」という漢字が含まれています。
「寂」は「静か・静寂」をあらわします。
そして「寞」は、気配や姿が感じられず切ないという訳もあります。
いつも一緒にいる人がいなくて、孤独を感じるような心境が寂寞です。
心の拠り所がなくて不安を感じてしまう心情、賑わいがなくて静まり返った様子が「寂寞」にあたります。
「寂寥」とは?
寂寥(せきりょう)とは、寂しくてやるせないこと。
心が満たされていなくて、不満に思う様子をあらわしています。
仕事がうまくいかなかったり、失恋して心にぽっかり穴が開いてしまったり、人生の壁にぶち当たって苦しくなる状態が「寂寥」です。
「寂寥」という熟語には「寂」と「寥」という、2つの漢字がはいっています。
「寂」とは、わびしいこと。
そして「寥」は広々としていることです。
心の中がらんと開いていて、むなしいと思う様子が「寂寥」です。
日々を生きていると、自分の理想と現実がかみ合わず、虚無感に似た心境を抱くこともあります。
心が疲れてしまい、何のために生きているのか分からなくなるような様子が「寂寥」です。
「寂寞」と「寂寥」の違い
どちらも侘しさを伝える表現です。
「寂寞」と「寂寥」の違いを、分かりやすく解説します。
・無人の「寂寞」、心の「寂寥」
「寂寞」と「寂寥」はどちらも同じ「人の寂しさ」について言いあらわした言葉です。
ただその内容は、少しずつ異なっています。
「寂寞」は無人の寂しさ、人気のない空間をあらわします。
山の奥深くや、民家があまり密集していない過疎地など、人影のないありさまを伝える言葉になります。
そして「寂寥」は、心が満たされない空虚さをあらわしています。
不愉快な出来事があったり、人から嫌なことを言われたりして、心の中が晴れ晴れとしないのが「寂寥」です。
そのため愛している人の姿が見えなくて、寂しい様子が「寂寞」。
心が空っぽになってしまい、やるせない様子が「寂寥」にあたります。
同じ「さみしい」の心情でも、環境の寂しさか心の寂しさかによって、ニュアンスが変わってきています。
まとめ
「寂寞」と「寂寥」の違いを分かりやすくお伝えしました。
「寂寞」とは、シーンと静まり返っていて不安になること。
静かすぎて、落ちつかない様子をあらわしています。
そして「寂寥」は、心が満たされず虚無感を覚えること。
生きていることの儚さに、思いを馳せた言葉になります。
いずれも「さみしい」心情をつづった熟語になりますが、風合いが異なっています。
知識を深めていきましょう。