この記事では、「惹起」と「誘発」の違いを分かりやすく説明していきます。
「惹起」とは?
事件や問題などを新たに生じさせることです。
エレベーターが1台しかない大きなホテルのことで説明をします。
大きなホテルなので利用者が大勢おり、食事時やチェックイン・チェックアウトの時間帯には、大勢がエレベーターを使用します。
そのため、その時間帯はエレベーターが混雑しており、なかなか利用できないという人が出てきます。
ときには10分ほど待たされてしまうこともあります。
階段を使えばいいと考えるかもしれませんが、大きな荷物があるなどの理由で、階段を使えない場合もあります。
待ち時間が長いため、大切な用事に遅れてしまう人もいました。
エレベーターが1台しかないために混雑をし、待ち時間が長くなり、それによって大切な用事に遅れるなどの問題が出ているのです。
問題が新たに生じており、このことを「惹起」といいます。
「惹起」の使い方
事件や問題などを新たに生じさせるという意味で使用をします。
前からあった事件や問題には使用しません。
「誘発」とは?
ある事が原因となって、ある事柄を新たに生じさせることです。
突然に何かがあることではなく、原因があってそれによって何かが生じることを意味します。
路面が凍っていると車がスリップする危険があります。
路面が凍っていなければ普通に走れるのに、凍っているるときには、普通に走ることが難しいのです。
これは「路面の凍結」という事柄が原因となり、「スリップ」という事態を引き起こしている、つまり「誘発」しているといえます。
樹木は土中に深く根を張り、土砂崩れを防いでくれることがあります。
山の斜面に生える樹木を伐採してしまったとします。
それによって土を保持する力が弱くなり、大雨が降ると土砂崩れを起こしやすくなる可能性があります。
これは「樹木の伐採」という原因があって、「土砂崩れ」という事柄を生じさせる、つまり「誘発」するということができます。
「誘発」の使い方
何か原因があって、それによって新たな事柄が生じることを指して使用をします。
原因もなく突然何かが生じることには使用しません。
「惹起」と「誘発」の違い
問題などが新たに生じるという意味が似ています。
「誘発」は、原因があって、それによって何かが生じる場合をいいます。
「原因があって」という意味が含まれている点が違いです。
「惹起」の例文
・『民族間の対立を惹起する』
・『問題が惹起する』
・『差別の惹起につながる』
・『惹起する可能性がある』
「誘発」の例文
・『嘔吐を誘発する可能性がある』
・『症状を誘発させる』
・『争いを誘発させる恐れがある』
・『誘発するような行為は慎むように』
まとめ
問題などが新たに生じるという意味が似ている2つの言葉ですが、「誘発」にはある事が原因になって、それによって何かが新たに生じることという意味があり、その点に違いがあります。