この記事では、「恣意」と「故意」の違いを分かりやすく説明していきます。
「恣意」とは?
自分の思う通りに動作や行動をする心、他のことは気にせずに自分のしたいようにする心のことです。
他人のことは考えない自分勝手な心を意味します。
Aさんが素晴らしい活躍をしたので、国民栄誉賞を与えることにしたとします。
表向きはAさんが素晴らしい活躍をしたら、Aさんのことを思って賞を与えるといったふうですが、本当は政治家の人気取りのために行われていたとします。
活躍をする人気のある人に賞を与えれば、それを与えた政府側によい印象を持たれるだろうという思いがあっての行動です。
これは、他人のことを考えた行動ではなく、自分のことを考えた行動です。
自分の思うままに振る舞っているといえるでしょう。
今度は判断のことで説明をします。
物事を判断をするときには、情報を収集したり、周りの状況を見たりします。
これは他を見ているので、この言葉が意味するものではありません。
周りの状況を考慮せずに、自分のことだけを考えて勝手に振る舞うような場合は「恣意的判断」といいます。
「恣意」の使い方
自分の思う通りに振る舞う心を指して使用します。
他人のことを考えない場合をいいます。
「故意」とは?
「故意」には2つの意味があります。
ひとつは、意識して何かをすること、またその気持ちです。
うっかりそうしてしまった、そうするつもりはなかったのにそうなってしまったということではなく、自分の意思によって何かをすることを意味します。
たとえば、靴下を左右違うものを履いていたとします。
急いでいるときはうっかり履き間違えてしまうことがありますが、この言葉はそういったことではなく、わざと靴下を左右違うものにすることを意味します。
これは左右違うとわかっていて行っています。
もう一つの意味は私法上、自分が行ったことから一定の結果が生じることを認めて受け入れながら行為に出る心情です。
「故意」の使い方
意識して何かをすることという意味で使用をします。
うっかり何かをすることではありません。
「恣意」と「故意」の違い
2つの言葉には「意」という漢字が使われており、この点が似ていますが、意味は異なります。
「恣意」は自分勝手なさま、「故意」は意識をして何かをすることです。
「故意」は自分が意識をして何かをすることですが、他人のことを考えずという意味は含まれていません。
たとえば、ボタンを掛け違えるのは他人の迷惑にはならず、他人のことを考えていないとはいえません。
「恣意」の例文
・『恣意が入る』
・『恣意的にコントロールする』
・『恣意的に選択をする』
「故意」の例文
・『故意に連絡を遅らせる』
・『故意に棚から花瓶を落とす』
・『故意にぶつかる』
まとめ
「意」という漢字が使われている点が似ていますが、一方は自分勝手なさま、もう一方はわざと行うことで、それぞれの言葉の意味は異なります。