この記事では、「現状維持の法則」【げんじょういじのほうそく】と「決定回避の法則」【けっていかいひのほうそく】の違いを分かりやすく説明していきます。
「現状維持の法則」とは?
人は何か特別なことが起こらない限り、現状をそのまま維持して、過去と同じものを選ぶというのが「現状維持の法則」と言います。
例えば、過去に購入したパソコンと同じメーカー、サイズ、性能などがほとんど同じであったり、コンビニで購入するお弁当、飲み物、お菓子も毎回決まっているのは、この「現状維持の法則」が表れています。
数多くのメーカーから毎回同じところを選び、数ある商品の中から繰り返し決まった物を購入する行為は、あまりにも数が多いと能力と時間をかけて比べることを嫌い、現状を変えたくないという気持ちになってしまうのです。
「決定回避の法則」とは?
あまりにも選択肢が多いと、人はどれにしようか迷ってしまい、一つだけ選ぶことが難しいと感じて決定できなくなるのが「決定回避の法則」です。
この法則を証明したのが「シーナ・アイエンガー」という社会心理学者であり、ジャム実験したとき6つと24個のジャムを日にちを分けた状態で販売するとほとんどの人が数の少ない方を選び、購入したのです。
このことから人はあまりにも種類が多いと興味を持っても購買意欲が失われることが分かりました。
数千、数万という商品を取り扱う通販ショップでは購買者が決定回避しないためにも客が興味あると思われる商品をコメンド機能により種類を絞り込めるようにしています。
「現状維持の法則」と「決定回避の法則」の違い
「現状維持の法則」と「決定回避の法則」の違いを、分かりやすく解説します。
今のままを保った方が面倒もなく、問題ないと考えるため過去と同じものを選んでしまう行為を「現状維持の法則」と言い、「決定回避の法則」は選択肢が多すぎると絞り込めないという違いがあります。
「現状維持の法則」は機能性があるのに安く買えればデザインは考えないという気持ちになり、その店に行って買うという行動を繰り返すようになります。
「現状維持の法則」の例文
・『商品のデザインや色が決まっている大手アパレル店に繰り返し来店し、購入する行為は現状維持の法則が働いているからだ』
・『専門的な分野に絞った情報が書かれているサイトを選び、登録する行為も現状維持の法則の一つだ』
何度も繰り返し客が来店する大手アパレル店では、幅広いデザインや柄の服を販売するのではなく、単調な色と一般大衆が好む服を揃えています。
飲食店でも焼肉店では肉だけを置き、お好み焼き店もそれだけに絞ることで客も迷うことなく食べたい物だけを求めて来店し、その味を楽しむ行為が「現状維持の法則」になるわけです。
「決定維持の法則」の例文
・『大型スーパーよりも省スペースのコンビニの方が売り上げているのは決定維持の法則が働いている』
・『売り上げが悪いなら商品を減らし、ブランドでおすすめの商品を強調して決定回避の法則を避ける工夫が必要だ』
広いスペースとたくさんの商品がある大型スーパーはどこに何があるのか探しにくく、店内を歩くだけでも疲れてしまいますが、狭く、数少ない商品を扱うコンビニの方がどこに何があるかすぐに分かるため見つけやすく、特定しやすいので売り上げが多いのです。
まとめ
どちらも人の心理からくる行動を表すときに使う法則ですが、人は新しい物を購入するのに抵抗感じてしまうため、過去と同じ物を購入する行為を繰り返すことを「現状維持の法則」と言い、選択肢が多すぎると迷ってしまうため、結局は小規模の店を選ぶのが「決定維持の法則」であると使い分けられます。