この記事では、「王水」と「逆王水」の違いを分かりやすく説明していきます。
「王水」とは?
「王水」とは濃塩酸と濃硝酸を混ぜ合わせて作る強酸性の液体です。
化学反応を全くと言っていいほど起こさず極めて安定している金を始めとして、あらゆる金属を溶解させられるという特性があるため、「王水」という名前がつけられました。
ただしどんな金属でも溶かせるというわけではなく、「王水」でも溶けない金属、溶かしにくい金属もあります。
比較的身近な例としては、銀を溶かすことができません。
濃塩酸と濃硝酸を混ぜる割合はどちらも同量ずつという訳ではなく、濃塩酸が3に対して、濃硝酸が1の割合にすることで「王水」が出来上がります。
最高品質の金を作るために使用されたり、ガラス器具に何の成分も残さない精密洗浄、貴金属を加工した時に出た屑を回収などが「王水」の用途です。
危険な劇物ではありますが、代えの効かない溶剤として重宝されています。
「逆王水」とは?
「逆王水」とは濃塩酸と濃硝酸を混ぜて作られた液体です。
名前は「王水」と配分比率が逆になっていることから直球的に付けられた名前で、濃塩酸が1に対して、濃硝酸が3の割合で混合して生成されます。
効能や化学反応的に、「王水」と全く逆の声質を持つわけではありません。
割合が逆になったことで、名前通り「王水」とは逆に濃硝酸の特性が強く出ている液体です。
「逆王水」の用途ですが、黄鉄鉱から硫黄成分を溶かし出し、硫酸イオンにする場合に使用されます。
ただし現状ではあまり用途が見つかっている化学物質ではなく、硫酸イオンを作ることと、一部の定量分析以外での有効活用方法は一般的ではありません。
「王水」と「逆王水」の違い
「王水」と「逆王水」の違いを、分かりやすく解説します。
濃塩酸を3に対して濃硝酸が1の割合で混合した液体が「王水」で、逆に濃塩酸が1で濃硝酸が3の割合で混合した液体が「逆王水」です。
「王水」は金を始めとして他の液体では溶かすことができない物も多く溶解できますが、「逆王水」にはそこまで強力な溶解作用がありません。
他には「王水」は貴金属も溶かす極めて強い作用から金属加工や金属回収、器具の洗浄や成分を分析するための試料制作など様々な用途に使われています。
それに対して「逆王水」は用途が限定的であり、黄鉄鉱からの硫酸イオン生成と、定量分析以外の用途にはあまり使われていないと、用途の幅が広いか狭いかも両者の違いと言えるでしょう。
まとめ
名前からして「王水」ありきの「逆王水」ですが、知名度としても「王水」の方が高く、「逆王水」という名前を聞く機会も専門職でなければ少ないでしょう。
用途としても「王水」は多岐に渡って使われているのに対し、「逆王水」も有効活用されているとは言えやや限定的ですし、基本的には「王水」と逆の割合で塩酸と硝酸を混ぜたものが「逆王水」とだけでも覚えておけば問題ありません。