将棋で勝負が決まる間際に使われる言葉に「王手」と「詰み」があります。
この言葉はどのような意味の違いがあるのでしょうか。
今回は、「王手」と「詰み」の違いについて解説します。
「王手」とは?
「王手」とは、「将棋で相手の王将を直接取れる位置に駒を指すこと」を意味する言葉です。
将棋は相手の王将を奪うことで勝利するゲームです。
それぞれの駒は決められた動き方で動かせるほか勝負の途中に奪った相手の駒を任意の場所に指せますが「相手が対応しなければ次の一手で王将を取れる位置に駒を指す一手」を「王手」といいます。
本来の「王手」は将棋で使われる専門用語ですが対象の駒を奪うと勝利になるルールのゲームでは同じ意味合いで広く使われています。
将棋とよく似たゲームに「チェス」がありますが、チェスではキングをとれる一手を指すことを「チェック」といい「王手」と同じ意味で使われています。
相手の最重要駒に迫る「王手」は勝負の終盤で指される一手です。
「王手」を指された相手は王将を動かすか他の駒を動かして相手を妨害するかしない限り次の一手で負けてしまいます。
攻め手にとっては相手の選択肢を狭められる一手なので次々と「王手」を続けながら相手を追い詰めていく、というのがポピュラーな戦法です。
ルール上は自分の王将で相手の王将を「王手」することも可能ですが、実際にそのような一手を指してしまうと次の相手手番に王将で王将を奪われて敗北してしまうため現実的にそのような手が指されることはありません。
「王手」の使い方
・『飛車で王手をかける』
・『次々と王手を繰り返す果敢な攻めで名人を追い詰める』
・『なかなか王手にならない粘り強い一戦だ』
・『王手金取りで形勢が一気に逆転する』
「詰み」とは?
「詰み」とは、「将棋でどのような手を指しても王将を奪われるのを避けられない状況になること」を意味する言葉です。
「どのような手を指しても次の一手で王将を奪われてしまうのが確実な状況」を指す言葉が「詰み」です。
一般的に将棋の勝敗は「詰み」をもって決着します。
敗北が絶対に回避できない状況が「詰み」なので「将棋とは詰みを避けつつ相手を詰みに追い詰めることを競うゲームである」と表現できます。
「詰み」は必ず自分の手番で発生します。
どの駒を用いても「詰み」に持ち込めますが、最後に持ち駒の歩を使って「詰み」に持ち込む行為は「打ち歩詰め」として禁じ手とされています。
「詰み」の使い方
・『このままだとすぐに詰みになってしまう』
・『読み筋を間違えなければ詰みに持ち込める』
・『後三手で詰みだったのに指し手を間違えてしまった』
・『詰みになったので負けを認めた』
「王手」と「詰み」の違い
「王手」と「詰み」の違いは「逃げ道の有無」です。
「王手」は相手が王を取れる位置に駒を指しますが次の一手で逃げられる回避可能な状況を表します。
「詰み」は次にどんな手を指しても王将を奪われるの避けられない逃げ道のない状況を表す言葉です。
勝負が決していないのが「王手」、勝負が決しているのが「詰み」という違いで区別されます。
まとめ
「王手」と「詰み」は将棋発祥の言葉ですがそこから転じて追い詰められた状況や窮地を表す言葉として広く使われています。
似ているようで決定的な違いがある言葉なので意味を正しく覚えておきましょう。