「王権神授説」と「絶対王政」の違いとは?分かりやすく解釈

「王権神授説」と「絶対王政」の違い専門用語・業界用語

この記事では、「王権神授説」「絶対王政」の違いを分かりやすく説明していきます。

「王権神授説」とは?

「王権神授説」とは?

「王権神授説」とは国王の権利は神から直接授かったものであり、神以外の何者にも妨げることのできない、神聖不可侵なものであるという概念です。

誰かが自分は偉いと言っても、人間は何の根拠なく他人を敬ったり、命令に従いはしません。

そのため統治者には他者が納得して従うような箔付けや理由付けが必要になります。

そこで宗教の影響力が現代より圧倒的に強かった時代に、他の王や宗教家の邪魔を受けず、民を従えるためにできた箔付け理由付けとして生まれたのが、神様からこの地と人を治めるべしと啓示を受けた、という「王権神授説」です。

国のトップにあたる国王であっても宗教勢力に頭が上がらない事は少なからずありましたが、「王権神授説」が事実だとすると、それを無視して宗教家が王に指図することは、自らの神を否定する事に繋がります。

国家元首としては目の上のたんこぶであった信者たちの信仰を逆手に取って、王の権威を強める根拠にした事例が「王権神授説」です。

「絶対王政」とは?

「絶対王政」とは?

「絶対王政」とは国王が任命した官僚による政治力と、常備軍による軍事力を支柱とし、全ての政治的権力を君主である国王が独占して国家運営を行う政治形態です。

国王は名目上国のトップではありますが好き勝手できるわけではなく、各地を直接治めている貴族の権力を無視できません。

しかしそうした政治的なパワーバランスが崩れ、他の貴族が束になっても国王に及ばないほど、国王が絶対的な力を持っていて、何の拘束も受けず国王が好き勝手に政を執り行える政治形態が「絶対王政」になります。

「絶対王政」の樹立には対抗馬となる貴族の弱体化、国王とその派閥が高い政治力と軍事力を持つこと、そして民を従わせる権威と言った条件が必要です。

「王権神授説」と「絶対王政」の違い

「王権神授説」と「絶対王政」の違い

「王権神授説」「絶対王政」の違いを、分かりやすく解説します。

国王は神様から直接王様として国を治めろと言われたから神様以外に従う必要がないという権威付けが「王権神授説」で、王様が自由に政治を取り仕切り他の何者にも拘束されない政治形態が「絶対王政」です。

何者にも邪魔されない「絶対王政」を敷きたい国王が、権威を強めて邪魔されにくくするための根拠として用いるのが「王権神授説」になります。

「王権神授説」はあくまでも国王の権威を裏付けるためのものであり、「王権神授説」が権威を強めていても、実際に他の権力者を無視できるほど国王が強いとは限りません。

しかし「絶対王政」は、何が国王の力の根拠となっているかに関わらず、他の権力者の意見や意思を無視できるほど、国王が力を持っているからこそ「絶対王政」です。

まとめ

まとめ

「絶対王政」「王権神授説」で権威を強めているものですが、「王権神授説」に当てはまる国王だから「絶対王政」というわけではありませんし、「絶対王政」「王権神授説」を重視しているわけではありません。

あくまでも「王権神授説」は国王の権威を強めるための道具に過ぎず、「絶対王政」が重視しているのは国王の絶対的な権力です。