国家の支配体制を表す言葉に「王政」と「帝政」があります。
この2つは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「王政」と「帝政」の違いについて解説します。
「王政」とは?
「王政」とは、「王が君主として国の頂点に君臨し政治を行う国家体制」を意味する言葉です。
「王政」とは「王が統治する国家体制」です。
国の体制はいろいろありますが「トップに王が存在し王が直接政治を執り行う国家のあり方」を「王政」と表現します。
国の頂点に君臨する王が何を持って支配権とするのかについては多様な学説があります。
王の権力は生まれ持って神から与えたとする「王権神授説」が知られていますが実際にはさまざまな形で王になった者が存在し権力の裏付けはひとつではありません。
武力により王と認められた者や類まれなる政治能力で王に担ぎ上げられた者、くじ引きにより運良く王になった者など王とひとくちにいってもさまざまです。
「王政」では王様が政治に関する全ての決定権を持つ「絶対王政」が基本ですが部分的に貴族や平民の政治参加を認める限定的な「王政」も存在します。
現代でも王が国の頂点に立つ国はいくつか存在しますがイギリスのように君臨はしても統治は行わない場合は「王政」に含まれません。
現在「王政」がとられている国は中東諸国に多く見られます。
「王政」の使い方
・『中世ヨーロッパでは多くの国々が王政だった』
・『王政では王が絶対権力者として国を支配する』
・『王政に置いて国とは王様そのものと同一視される』
・『王政の崩壊後、共和制へと政体が移行した』
「帝政」とは?
「帝政」とは、「皇帝が君主として国の頂点に君臨し政治を行う国家体制」を意味する言葉です。
「皇帝による国や地域の支配」を「帝政」と表現します。
「皇帝」というのは他に並ぶ者がないトップを指す言葉で唯一無二の絶対的なこの世の頂点に立つ者に対して用いられる称号です。
「皇帝」と初めて名乗った古代中国の時代に全土を支配した秦の始皇帝だとされています。
欧米で「皇帝」といえば一般的にはローマ皇帝を意味します。
古代ヨーロッパで圧倒的な支配力を示したローマ帝国はローマ皇帝をトップとする「帝政」により支配されていました。
一部の地域だけでなく世界そのものを支配するくらいの圧倒的な支配力を持つ者が「皇帝」であり皇帝が全てを支配する国家の政治体制が「帝政」です。
「帝政」の使い方
・『帝政では皇帝が絶対的な君主として君臨する』
・『帝政といっても国家によって支配構造には違いが見られる』
・『帝政ローマでは文化と芸術が奨励されていた』
・『帝政ロシアでは血で血を洗う清掃が繰り広げられていたと伝えられている』
「王政」と「帝政」の違い
「王政」と「帝政」の違いは「支配者」です。
王が支配し政治を掌握するのが「王政」、皇帝が支配し政治を掌握するのが「帝政」です。
王と皇帝の違いは「権力の及ぶ範囲」です。
「王」という肩書は国の支配者にだけでなく一地方の支配者に対しても用いられ日本でいうところの大名クラスの王も存在しました。
「皇帝」は唯一無二の絶対的な君主に使われる称号であり国に一人しか存在せず「世界そのものを統べる者」という壮大な意味合いを含んでいます。
限定的な地域において王が絶対的に政治を支配するのが「王政」、広い地域を皇帝による政治で支配するのが「帝政」という違いで区別されます。
まとめ
「王政」と「帝政」は支配者の肩書で区別されます。
君主が自らを同生しているのかに着目してふさわしい表現を使いましょう。