裁判にまつわる用語には、意図が分からない語句もあります。
この記事では、「作為義務」と「不作為義務」の違いを分かりやすく説明していきます。
正しく中身を整理していきましょう。
「作為義務」とは?
作為義務(さくいぎむ)とは、しなくてはいけない義務のこと。
または負担をあらわします。
法令に基づいて、人としてすべき義務や負担を示した言葉です。
刑法など法律について学ぶとき、裁判で争うときに良く出てきます。
作為義務という言葉が問題になるのは「不真正不作為犯」という犯罪についてです。
不真正不作為犯というのは、いわゆる見て見ぬふりした人に適用される犯罪のことです。
不真正不作為犯にあたるのは、作為義務があったにも関わらず、その人が何もしなかったケースです。
例えば赤ちゃんのいる保護者が、ミルクや離乳食をまったく与えなかったとします。
食べ物を与えないことが死につながると分かっていながら、保護者としての義務を怠っているのは「作為義務」に違反します。
このような場合は、直接的に殺人に手を染めていなくても「不真正不作為犯」と認められる可能性があります。
「不作為義務」とは?
不作為義務(ふさくいぎむ)とは、してはいけない義務のこと。
またはそうした負担を意味します。
法律やルールに基づいて、人として手を染めてはいけない義務や負担について述べた言葉です。
不作為義務は法律や法令に関する、あらゆるシーンで使います。
不作為義務があるにも関わらず、法令を破って危険な行為をおかした人は、何らかの処分が下される可能性もあります。
例えば新型コロナウイルスの対策を徹底している官庁に、マスク無しで訪れた来客がいたとします。
この官庁に「マスクの着用は必須」というルールが決まっていた場合、マスク無しで来訪することは「不作為義務」にあたります。
不作為義務とは、守らなければいけないルールを無視すること。
違反行為のことです。
「作為義務」と「不作為義務」の違い
どちらも同じ言葉が使われているので、読み解くのが難しいです。
「作為義務」と「不作為義務」の違いを、分かりやすく解説します。
・裁判によく出るのは「作為義務」
整理すると「作為義務」は法律に従って、しなければいけない義務のこと。
そして「不作為義務」は法律や規則に基づいて、おこなってはいけない義務のことです。
少々ややこしいのですが、裁判の論点にあがりやすいのは「不作為義務」より「作為義務」です。
「作為義務」は「不真正不作為犯」など、義務を怠ったことにより犯罪を助長させてしまったケースに用いられます。
「作為義務がある」と裁判所で認められると、重い刑が下されることもあります。
まとめ
「作為義務」と「不作為義務」の違いを分かりやすくお伝えしました。
「作為義務」とは、しなければいけない義務のこと。
「不作為義務」は反対に、手を染めてはいけない義務をあらわします。
「不真正不作為犯」の確定には、大きく「作為義務」があったのか、なかったのかが問われます。
正しい中身を知って、裁判に詳しくなっていきましょう。