香港に関しては、紆余曲折の結果、1997年にイギリスから中国に返還されましたが、実は香港の扱いというのは複雑で、そもそもはアヘン戦争時にイギリスが植民地化したことから始まりますが、その後地域によっては租借地であった時もあります。
それでは、「植民地」や「租借地」とはどういう意味でしょうか。
また、違いはどこにあるのでしょうか。
この記事では、「租借地」と「植民地」の違いを分かりやすく説明していきます。
「租借地」とは?
「租借地」とは、「ある一定の条件や期間において、自国の領土の一部を他国に貸し出す」ことを言います。
貸し出すに当たっては租借料を取ることもありましたが、無償での租借も多く、期限を設けないケースもありました。
通常は、「租借地」の立法、行政、司法の権利は借りた国に移ります。
アロー戦争によって、九龍半島をイギリスが清国から租借したのが香港の複雑な状況の始まりとなりました。
英語では「concession」が近いでしょう。
「植民地」とは?
「植民地」とは、「入植することによって支配下に置いた土地」のことを言います。
多くの場合は元々そこで生活していた人たちは外国の支配下で継続して暮らすことになります。
元々は15世紀から始まるヨーロッパの大国による領地拡大政策から始まっていますが、時代によってその形態は変化してきました。
最も多かった時代には、アジアやアフリカのほとんどの国がヨーロッパの植民地として支配されていました。
英語では「colony」が最も近い言葉です。
「租借地」と「植民地」の違い
「租借地」と「植民地」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つの言葉は、植民地政策の結果として大国が領土を広げるために使用したものであることは同じですが、基本的な意味が違います。
すなわち、「租借地」が、「一定の条件で他国に貸した領地」であるのに対して、「植民地」は「入植によって他国が支配権を獲得した領地」のことを言います。
つまり、「借りている土地」か、「もらった土地」かの違いということになります。
「租借地」の例文
「租借地」の例文は以下のようになります。
・『九竜半島は、元々イギリスが清から借りた租借地でした』
・『租借地に関しては契約によって租借料を取らず、期限も設けないこともあります』
「植民地」の例文
「植民地」の例文は以下のようになります。
・『大航海時代に長い植民地政策が始まりました』
・『2つの大戦以降、多くの植民地は自治を取り戻しました』
まとめ
この記事では、「租借地」と「植民地」の違いを、解説してきました。
序文で述べたように、香港はかなり複雑な経緯を経て、最終的には1997年に中国に返還され、その話し合いの中で、香港に対してはそれまでの体制を尊重して、2047年まで「一国二制度」を適用することを約束しました。
その後この体制がどうなるかはわかりませんが、香港の状況は今後も変化してゆくことは間違いないでしょう。