「チルド」と「パーシャル」はどちらも冷蔵庫の食品保存機能を指しますが、意味や適した食材が異なるため使い分けが必要です。
この記事では、「チルド」と「パーシャル」の違いを分かりやすく説明していきます。
「チルド」とは?
「チルド」は英語で「冷却した」「冷蔵の」を意味する“chilled”に基づく言葉で、日本工業規格では「約0℃」に規定されています。
食材が凍結し始める直前の温度に保って保存するため、「冷蔵庫よりも長く保存したいが冷凍まではしたくない際」に適しています。
また、発酵食品や加工食品、水分量が少ない食品などの保存にも望ましいとされています。
「パーシャル」とは?
「パーシャル」は、「食品を0℃~-3℃程度で冷凍する方法」を意味する「パーシャルフリージング」を短縮させた言葉で、日本工業規格では「約-3℃」に規定されています。
「微凍結」とも呼ばれ、食材を完全に冷凍させないため食品内に存在する細胞が痛みにくく、鮮度や味を維持しやすいというメリットがあります。
「チルド」と「パーシャル」の違い
次に、「チルド」と「パーシャル」の違いを分かりやすく解説します。
「チルド」と「パーシャル」の大きな違いは、「設定温度」や「食品への作用」、「適している食品」などにあります。
「チルド」は設定温度が「0℃前後」で、食品を氷点下寸前の温度で保存する働きがありますが、完全に冷凍していないので「解凍する必要がない」という特徴があります。
「チルド」に適しているのは「冷蔵庫よりも長く保存したいものの凍結まではしたくない食品」で、具体的には生クリームやヨーグルト、チーズといった「乳製品」や、みそや納豆をはじめとした「発酵食品」、ハムやウィンナーといった「加工食品」、はんぺんやちくわに代表される「練り物食品」、漬物や豆腐といった「水分が少ない食品」などが挙げられます。
なお、「チルド」では肉や魚も保存できますが、「パーシャル」や「冷凍」より設定温度が高いため比較的早く消費する必要があります。
一方、「パーシャル」は設定温度が「-3℃前後」で、食品を控えめに冷凍させるため「チルド」より鮮度がキープできるという特徴があります。
「パーシャル」に向いている食品は「今すぐには調理しないが長期保存する必要もない食品」で、主に「肉類」や「海鮮類」の保存に適しているといわれています。
また、「パーシャル」では食材の表面付近を軽く凍結させることが可能なため、お刺身や肉がカットしやすくなるというメリットもあります。
そのほか野菜も保存でき、長芋などは粘り気が減って下ごしらえしやすくなるという利点もあるようです。
なお、「パーシャル」は微凍結にあたるため、「チルド」と同じく解凍不要で調理できます。
まとめ
「チルド」と「パーシャル」は双方とも「冷蔵より低い温度で保存する機能」ですが、それぞれの特徴や持ち味に違いがあります。
双方の正しい機能や使い分け方法を知ることで、より効率よく食品を保存することにつながるでしょう。
ぜひ料理の際の参考にしてください。