「廃案」と「継続審議」の違いとは?分かりやすく解釈

「廃案」と「継続審議」の違い専門用語・業界用語

国会の会期末が近づくと耳にする機会が増える言葉に「廃案」「継続審議」があります。

この2つはどこに違いがあるのでしょうか。

今回は、「廃案」「継続審議」の違いについて解説します。

「廃案」とは?

「廃案」とは?

「廃案」とは、「国会の会期中に議決されることなく廃止となった法案」を意味する言葉です。

「廃案」という言葉は広義では「採用されず捨てられた提案」という意味で使われますが狭義では「国会に提出された法案が議決されることなく会期が終わること」を意味します。

日本の国会には「会期不継続の原則」というものがあります。

「会期不継続の原則」とは「法案の議決や審議など国会が示す意志は回帰ごとに独立したものとして扱う」というルールのことです。

会期不継続の原則に従うと国会で議論された内容が通用するのはその国会の会期中のみでありどんなに議論を尽くした法案であったとしても議決されなければ終りとなり廃止されてしまいます。

会期中に議決されなかった法案は「廃案」になるので法案を通したい側は会期が近づくと議決を間に合わせるために審議を急ごうとし法案に反対する側は審議を引き伸ばして時間切れに持ち込もうとする、という攻防が行われます。

「廃案」の使い方

・『与党側は廃案を避けるために審議を急ごうとしている』
・『法案を廃案に追い込むために野党が引き伸ばし戦術に出た』
・『いったん廃案に追い込まれてしまうと次の国会で再び法案を提出するのは簡単ではない』
・『疑問の多かった法案が廃案となりホッと胸を撫で下ろす』

「継続審議」とは?

「継続審議」とは?

「継続審議」とは、「国会の会期中に議決に至らなかった法案を次の回帰でも引き続き審議すること」を意味する言葉です。

「会期不継続の原則」に従えば会期中に議決されなかった法案を次の会期に持ち込むことはできませんが、例外的な措置として法案の会期を持ち越す手続きが「継続審議」です。

法案が議決されないまま会期末を迎える前に議会において「閉会中審査」が議決されると対象の法案は「国会の閉会中も引き続き審査が行われる」という扱いになります。

会期が終了してもそこで終わりになることなく審議の効力が継続されるため、次の会期で引き続き審査が継続されることになります。

「継続審議」の使い方

・『安全保障に関連する法案が継続審議になった』
・『会期末が近づくと継続審議になる法案が増えてくる』
・『今回は継続審議になったが次の会期ではなんとしても成立させたい、と議員が意気込みを語った』
・『何度も継続審議を繰り返すのはよろしくない』

「廃案」と「継続審議」の違い

「廃案」と「継続審議」の違い

「廃案」「継続審議」の違いは「次の会期への引き継ぎ」です。

「廃案」となった法案はそこで終わりであり次の会期へ引き継がれることはありません。

再び成立を目指す場合は次の会期であらためて手続きに従い法案を提出し一から審議する必要があります。

「継続審議」では今の会期で議論された内容が次の会期に引き継がれ、次の会期では前の会期で審議が進んだ段階から審議再開となるので残された部分を審議するだけで議決手続きに持ち込めます。

会期終了で廃止されるのが「廃案」、次の会期に持ち越されるのが「継続審議」という違いです。

まとめ

まとめ

「廃案」「継続審議」は日常会話ではまず使うことのない言葉ですがニュースでは頻繁に耳にします。

言葉がわかっていないと国会の動きが理解できないので意味をきちんと知っておきましょう。