同じ音で意味が異なる言葉として「真っ当」と「全う」があります。
具体的にはどのような意味の違いがあるのでしょうか。
今回は、「真っ当」と「全う」の違いについて解説します。
「真っ当」とは?
「真っ当」とは、「筋が通っていて正しいこと」を意味する言葉です。
「後ろ暗いところや世間にはばかるところがなく正々堂々と胸をはれる正しい様子」を指して「真っ当」と表現します。
一般的には「真面目」や「まとも」といったような意味合いで使われることが多い表現ですが本来の意味は「疑いを差し挟む余地のない正しさ」を意味する表現です。
「真っ当」という言葉が使われるのは正しくないことが実際に存在するときです。
「真っ当な生き方」というのは世間に後ろ指を指されないような正しい生き方を意味する表現ですが、このような表現は「真っ当」ではない生き方が現実として存在するからです。
正しくない生き方として自堕落な生活だったり犯罪に手を染めたりといった「真っ当」ではない生き方があるからこそ規範的な「真っ当」が成立します。
正しいことやまともであることを具体的に表現しにくい分野に関しては「真っ当」という生き方は使われません。
明確な基準はありませんが基本的には社会道徳や法律と言った多くの人で共有されている気持ちに基づいて判断されます。
昔風に言うならば「お天道さまに顔向けできる正しさ」が「真っ当」にあたります。
「真っ当」の使い方
・『極道から足を洗ってまっとうな生き方をすると約束した』
・『真っ当に商売している雰囲気が感じられない怪しい店』
・『困っている人を助けようという真っ当な意見が提案された』
・『転売屋が排除されれば真っ当な値段で買えるようになるはずだ』
「全う」とは?
「全う」とは、「最初から最後まで完全に果たす」という意味の言葉です。
「全う」はある程度長い時間をかけて物事にあたるときに用いられる表現で「中断したり脱落したりすることなく初めから終わりまで継続し終わらせる」ことを意味します。
在任期間の最初から最後まで仕事をやりぬいたりスタートからゴールまでリタイアすることなく走り切ったりすることを表す言葉が「全う」です。
「全う」の使い方
・『参議院議員の任期を全うする』
・『委員長の仕事を全うできなかったのが心残りだ』
・『学生の本分である勉強をまっとうする』
・『天寿を全うし安らかな眠りに就く』
「真っ当」と「全う」の違い
「真っ当」と「全う」はどちらも「まったく」という言葉に由来しています。
「全て」「完全に」という意味を持つ「まったく」から「完全な正しさ」という意味に変化したのが「真っ当」、「最初から最後まで全て」という意味に変化したのが「全う」です。
「真っ当」という表記は本来当て字だったものが一般化した言葉なので同じ意味で「全う」という表記が使われれることもあります。
どちらも「欠けることなく全部」という要素を含んでいますが表す対象によって使い分けられます。
まとめ
「真っ当」と「全う」は意味だけでなく表記も間違えやすい言葉です。
文章に混在する場合は書き間違いや変換ミスに注意しましょう。