この記事では、「立つ鳥あとを濁さず」と「飛ぶ鳥を落とす勢い」の違いを分かりやすく説明していきます。
「立つ鳥あとを濁さず」とは?
場を去っていくものがその場を乱さないことを美徳とする意味の言葉で、飛び去っていく水鳥がその水場を濁さないというところから来た言葉となっています。
引き際の美しさを求める意味合いが強い言葉で、その場合勤務先をやめるときの態度、行為などについて使われています。
また、旅行先において宿を荒らさないべきだという戒めのニュアンスでも使われるケースもありますが、どちらかと引き際の美しさの方が多く使われていると言えます。
立つ鳥跡を濁さず、飛ぶ鳥跡を濁さずとも表記できます。
対義語としては後足で砂をかけるという言葉があり、去っていく所属もとに迷惑をかけてから去るというニュアンスで、対義語ではありますが、いい意味では使われていないので、立つ鳥あとを濁さずの精神がないと言った使い方になります。
「飛ぶ鳥を落とす勢い」とは?
威勢、勢い、権威や権力が非常に盛んで並ぶものがないという意味合いの言葉で、そのジャンルでトップを走るものに使うことがあるのはもちろん、トップではないものの伸び率の高さがあるものに対しても意味合いに含まれることがあります。
人気があると言った意味合いにも使うことができ、飛ぶ鳥を落とす力は、弓や銃によるものではなく、神通力的なもの、その勢いによって落ちてしまうという由来があります。
ポジティブな意味で使われることも多い言葉で、例えば感染症などのような悪いことが勢いを増している時に使うことはありません。
破竹の勢いという言葉が似た意味合いの言葉として使えますが、破竹の勢いは競技で勝ち星を上げるときにも使えるのに対し、飛ぶ鳥を落とす勢いは権威や人気を増すという方向性になっています。
「立つ鳥あとを濁さず」と「飛ぶ鳥を落とす勢い」の違い
「立つ鳥あとを濁さず」と「飛ぶ鳥を落とす勢い」の違いを、分かりやすく解説します。
鳥という言葉が入っていること以外はほぼ共通点がない慣用句で、立つ鳥あとを濁さずは所属している場から去るときに揉め事を起こしたりしないという意味合い、飛ぶ鳥を落とす勢いは凄まじい権威や勢い、人気を持っている状態、または増大している状態を指し、使うシチュエーションがあまりに異なるため、同一の人物を指したひとつの文章の中で立つ鳥あとを濁さずと飛ぶ鳥を落とす勢いが入ることはまずないでしょう。
立つ鳥あとを濁さずは鳥のようにあるべきという意味合い、飛ぶ鳥を落とす勢いは鳥は落とされる側とやや立ち位置が異なっています。
まとめ
去り際の美しさを美徳とする意味合いの立つ鳥あとを濁さずと、勢いの凄まじさ、権威の増大などを表す飛ぶ鳥を落とす勢いは用法がかなり異なる慣用句と言え、立つ鳥あとを濁さずという言葉のほうがどんな人でも使うケースが有り、飛ぶ鳥を落とす勢いと称されるのは難しいこととも言えます。