互いを尊重していくようなあり方を指す言葉として「共存」と「共生」があります。
この2つの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「共存」と「共生」の違いについて解説します。
「共存」とは?
「共存」とは、「異なる物同士が同じ場所に存在しやっていくこと」を意味する言葉です。
競争が行われている環境において自分や自分の仲間以外の他者は競争相手であり蹴落とすべきライバルです。
限られたリソースを奪われる可能性を考えると他者を排除した方が自分たちにとって都合がよく、自然界ではどちらかが滅ぶまで過酷な競争が繰り広げられることも珍しくありません。
「共存」とは「般的には敵やライバルとみなされる存在である自分とは異なる他者を尊重し争うことなく上手くやっていくこと」を意味する言葉です。
一般的には「異なる種が一緒に生存していく」ことを指しますが、争わないところから転じて「同じ場所に異なるものが同時に存在すること」という意味でも使われます。
狭義では「自然界において異なる種が同じ範囲で生存すること」を表し、広義では「民族や企業など異なるもの同士がお互いを蹴落とそうとせず共に存在すること」を表します。
「共存」の使い方
・『アフリカの国立公園ではキリンとゾウが同じエリアで共存している』
・『食べるものが困らない豊かな自然の恵みによりさまざまな生物が共存できている』
・『共存をめざすならお互いを尊重する姿勢が重要だ』
・『ラーメン屋とそば屋とうどん屋が商店街で共存している』
「共生」とは?
「共生」とは、「異なる生物同士がお互いに関り合いを持ち支えあいながら生きていること」を意味する言葉です。
自然界には異なる種でありながらお互いがお互いの生存に深く影響しているケースが見られます。
野生に生きる動物のほとんどは自分もしくは自分と同じ種族の中で飲みともに協力して生存を目指し一種の社会を形成します。
「共生」とは社会の中に他の酒や生物が組み込まれている状況を表します。
イソギンチャクは魚を捕食する生物ですがクマノミは魚でありながらイソギンチャクのいる場所をすみかにしています。
クマノミの体表にはイソギンチャクが忌避する粘液が分泌しているので襲われることはありません。
クマノミはイソギンチャクのおかげで大型の肉食魚から襲われるリスクがなくなり、イソギンチャクはクマノミが食べた魚の食べこぼしを得ることで食料獲得が用意になります。
お互いがそれぞれ利益をもたらすことによりそれぞれの生存に有利に働いている関係性が「共生」です。
「共生」の使い方
・『自然界に見られる共生について調べる』
・『共生が成立しているのにはきちんとした理由がある』
・『環境の激変により共生が崩れてしまった』
・『互い同士がいないと成立しない共生は人間の間にも存在する』
「共存」と「共生」の違い
「共存」と「共生」の違いは「関わりの深さ」です。
「共存」は同じ範囲で暮らしているものの交流はほとんどなくそれぞれが独立して存在しているのに対し「共生」はお互いの存在がないと生存が困難なほどの深い関わりによって成立している関係性を指します。
一緒の場にいるだけなのが「共存」、生存に欠かせない協力関係にあるのが「共生」という違いで区別されます。
まとめ
「共存」と「共生」は似ているようで意味の異なる言葉です。
環境問題などでは将来的な人間社会のあり方についても用いられる考え方なのでそれぞれのただしい意味を知っておきましょう。