「賢しい」と「小賢しい」はどちらも「賢」の字が使われている言葉ですが、詳細な意味合いが異なるため区別して認識する必要があります。
この記事では、「賢しい」と「小賢しい」の違いを分かりやすく説明していきます。
「賢しい」とは?
「賢しい」は「さかしい」と読む言葉で、「知能や知力が優れ適切な判断ができる様子」という意味や、「知能や知力を持っているように見せかける様子」といった意味があります。
上記のほか、「気の持ちようがしっかりしている」や「上手である」などの意味も持ち合わせています。
「小賢しい」とは?
「小賢しい」は「こざかしい」と読む言葉で、「利口ぶって出しゃばっている」や「ずうずうしく生意気である」といった意味があるほか、「悪賢い」、「要領よく立ち回って抜け目ない」などの意味でも使用されています。
「賢しい」と「小賢しい」の違い
「賢しい」と「小賢しい」は、双方共に「人格や才知が優れている」や「賢明である」という意味を持つ「賢」の字が使われていますが、それぞれの言葉が持つ意味合いに違いがあります。
「賢しい」は「知能や知性が優れていること」というポジティブな意味合いがある一方で、「知能や知性が優れていると見せかけること」というネガティブな意味も持ち合わせています。
対して「小賢しい」の場合は、「利口そうに振る舞って出しゃばっている」や「生意気でずうずうしい」、「悪賢い」などネガティブな意味が強い言葉となっています。
「賢しい」の例文
「賢しい」は「知能や知性が申し分なく、判断力に優れている」状況や、「知能や知性が優れていると見せかける」状況で使用される言葉です。
前者の意味では「理知的」や「スマート」という前向きなニュアンスが感じられますが、後者の意味では「賢明に見せかける」という消極的なイメージがありますので用いる際は注意しましょう。
・『一代で財産を築いた祖父は、賢しい方法で激動の時代を生き抜いてきた』
・『新しいプロジェクトには、社内でも特に賢しくて敏腕な社員たちが任命された』
・『その新人は仕事がよくできるが、たびたび賢しい口をきくのが気になる』
・『彼がなかなか周囲の信頼を得られないのは、彼に賢しい一面があるからではないか』
「小賢しい」の例文
「小賢しい」は「利口そうに振る舞って出しゃばっている」や「ずうずうしくて生意気である」、「悪賢い」、「要領がよく抜け目ない」などの状況を表現する際に使用します。
立場が同等もしくは目下の人に対して使用し、目上の人には用いないのがマナーとされています。
・『子どもの中には大人がびっくりするほど小賢しい口をきく子もいる』
・『上司に対してそんな小賢しい口をきくのは控えた方が良い』
・『彼は怠け者だが、小賢しく立ち回るため周囲から評価されている』
・『彼女は小賢しい方法を使ってまでも名誉が欲しかった』
まとめ
「賢しい」と「小賢しい」は表記も読み方も似ているため混同しやすい言葉ですが、各々違う意味合いを持っていることが分かります。
両者の意味や用法を学んで、状況に応じて使い分けましょう。
ぜひ語彙力向上の参考にしてください。