いわゆる「トンカチ」を意味する言葉として「玄翁」と「金槌」があります。
このふたつはどのような違いで区別されるのでしょうか。
今回は、「玄翁」と「金槌」の違いについて解説します。
「玄翁」とは?
「玄翁」とは、「打撃面が二箇所ある工具の鎚」を意味する言葉です。
者を打つために作られた大きな頭と絵で構成される道具を「鎚」といいます。
「玄翁」とは「頭の部分の両端が平らに加工されどちらの面も打撃に使える構造をしている鎚」を指します。
一般的な「玄翁」は片方の打撃面は平らに、もう一方の打撃面はわずかに丸みを帯びて作られています。
これは平らな打撃面で釘をまっすぐ打ち込んだ後に丸みを帯びた面で仕上げに叩くことで木材を痛めることなく正確に釘のみを打ち込むためにあえて異なる形状で作られています。
「玄翁」という名前は僧侶に由来しています。
九尾の狐が封印後に化けた殺生石という名の巨大な岩を鎚でくだいたとされるのが玄翁和尚だったことから、特定の鎚のことを「玄翁」と呼ぶようになったとされています。
「玄翁」は今でも一般的に使われている工具であり釘を打つための工具としては非常にポピュラーです。
工具店などにも普通に販売されていますが日本独特の工具であり海外で用いられるハンマーとは全体的なフォルムは似ているものの構造には違いが見られます。
「玄翁」の使い方
・『玄翁で釘を打つ』
・『玄翁の両面は別々の用途に使うものだということはあまり知られていない』
・『大工道具の中には必ず玄翁が入っている』
・『手入れをしないと玄翁がサビてしまう』
「金槌」とは?
「金槌」とは、「金属製の槌」を意味する言葉です。
物を打つための道具である「槌」は木製のものと金属製のものの2種類に大別されます。
槌の中でも「頭部が金属で作られている槌」を指すのが「金槌」です。
「金槌」は文字通り「金属で作られている槌」ですが柄の素材は金属ではなく木材が使用されているものも含みます。
「金槌」は金属製の槌全般を指す言葉でありサイズや形状も様々です。
西洋で使われるハンマーも「金槌」の一種で大きさも片手で握られる大工作業用のものから壁などを破壊するために使う巨大なものまで、頭が金属製であれば全て「金槌」に含まれます。
「金槌」と同じ意味の言葉として「鎚」があります。
鎚は「金属でできた槌」を表しており一文字で「金槌」と同じ意味を表します。
「金槌」の使い方
・『金槌で釘を打ち込む』
・『腰に金槌をぶら下げる』
・『水に落とした金槌は浮かび上がることなく沈んでいった』
・『この金槌は大きすぎて使いにくい』
「玄翁」と「金槌」の違い
「玄翁」と「金槌」のちがいは「形状」です。
「玄翁」は異なる打撃面をふたつ備える鎚を指しますが、「金槌」は金属製であればすべての槌を含みます。
すべての「玄翁」は「金槌」であり言い換えても意味は通じますが、「金槌」には「玄翁」以外にもスレッジハンマーやウォーハンマーなどもあり言い換えることはできません。
まとめ
「玄翁」と「金槌」は混同されやすいのですが指しているものは明確に異なります。
形状によって区別されるので言葉の定義をしっかり覚えておきましょう。