リスクに関する言葉として「リスクマネジメント」と「リスクヘッジ」がありますが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「リスクマネジメント」と「リスクヘッジ」の違いについて解説します。
「リスクマネジメント」とは?
「リスクマネジメント」とは、「リスクを管理すること」を意味する言葉です。
予想できない未来においてなにか悪いことや不利益が起きる可能性のことを「リスク」といいます。
事業に失敗したり機械が故障したりなど「様相外の出来事によりうまくいかないこと」がリスクでありあらゆる事象において必ずつきまといます。
完璧な未来予想ができない以上リスクを完全に防ぐことはできません。
不確実な将来に対しできるのはリスクをゼロにすることではなく想定されるリスクをできるだけ抑え損失を防ぐことです。
「リスクによってもたらされる被害や損失を抑える目的で行われる管理活動」を指す言葉が「リスクマネジメント」です。
「リスクマネジメント」にはさまざまな要素が含まれます。
災害を想定して物資を備蓄したり避難訓練をしたりといった行動も「リスクマネジメント」ですし、地震が起きても被害が少ない地盤の固い地域に引っ越すのも「リスクマネジメント」の一種です。
「リスクマネジメント」とは「予想されるリスクを前提にして判断したり行動したりすること」でありリスクに対して組織的な管理で対処すること全般を指します。
一般的には企業経営や投資活動などリスクが直接的に利益に影響をもたらす場合に用いられますが、事件や事故などのトラブルを未然に防ぐ活動などにも「リスクマネジメント」という表現が使われます。
「リスクマネジメント」の使い方
・『取引先をひとつに限定しないのもリスクマネジメントの一種である』
・『情報の重要性ごとにアクセス権を設定するのはリスクマネジメントの初歩である』
・『リスクマネジメントのために備蓄物資を分散して保管する』
・『過去のトラブル事例を分析する作業も大切なリスクマネジメントの手法だ』
「リスクヘッジ」とは?
「リスクヘッジ」とは、「リスクに対してあらかじめ回避策を用意しておくこと」を意味する言葉です。
「リスクヘッジ」の「ヘッジ」には「回避する」という意味があります。
将来的に起こりうる可能性があると予測されるトラブルや事件に対し「あらかじめ損失を回避できるよう手を打っておくこと」を「リスクヘッジ」と表現します。
自動車で事故を起こすと修理代や賠償金などで巨額の費用が発生します。
事故が起きた時の莫大な費用負担は自動車運転に伴うリスクのひとつですが、事故にあった時の費用を補填する自動車保険は車の運転における「リスクヘッジ」にあたります。
「リスクヘッジ」の使い方
・『相場が暴落しても耐えられるようリスクヘッジしておく』
・『保険は最も身近なリスクヘッジである』
・『リスクヘッジなしで活動するのは無謀だ』
・『巨大企業ほどリスクヘッジにかけるコストも高額になる』
「リスクマネジメント」と「リスクヘッジ」の違い
「リスクマネジメント」がリスクそのものを小さくしようとする活動を指すのに対し「リスクヘッジ」はリスクが発生した時の損失をできるだけ回避するための活動を指します。
車を例にするなら事故を起こさないよう日常的に点検したり安全確認を徹底したりするのが「リスクマネジメント」、事故にあったときに賠償金を払えるよう保険に加入しておくのが「リスクヘッジ」です。
まとめ
「リスクマネジメント」と「リスクヘッジ」ではリスクに対する対応が異なります。
経営や投資の世界では多用される言葉なのでビジネスに関わる人は正しい意味を知っておきましょう。