自然の恵みを入手することを表す言葉に「採る」と「獲る」があります。
このふたつの言葉はどのような基準で使い分けられているのでしょうか。
今回は、「採る」と「獲る」の違いについて解説します。
「採る」とは?
「採る」とは、「集めて手に入れること」という意味の言葉です。
「採る」という言葉は「たくさんあるものの中からいくつかを選んで自分のものにすること」を表しています。
主な目的は集めることでありたくさんあるもののうち一部を手に入れて収集する行為を指して「採る」と表現します。
「採集」や「採取」と言った表現からもわかるように集める対象となっているのはそれなりに数がたくさんあるもので希少価値の高いものや数が限られているものに対しては「採る」という表現は使われません。
集めようと思えば大量に手に入れることもできるようなありふれたものにのみ使われる表現です。
「採る」目的はさまざまです。
山菜やキノコなどは食用目的ですし、昆虫や植物などは研究や学術目的で集められます。
検査のために体から血液を抜く場合にも「採る」という言葉が使われます。
物質的な物以外にも会議での採決や人材採用などでも使われるのは「採る」です。
具体的なルールなどはありませんが一般的には「その場所にとどまっていて逃げないもの」に対して「採る」という表現が使われます。
昆虫を「採る」など一部の例外はありますが対象の場所を確認できれば容易に手に入れられるものを入手するのが「採る」であり追跡や大掛かりな仕掛けが必要な場合は「採る」という表現は用いられません。
「採る」の使い方
・『山に入って山菜を採る』
・『松林でマツタケを採るには許可が必要だ』
・『検査のために血液を採る』
・『業務拡大のために新しく経理担当者を採ることにした』
「獲る」とは?
「獲る」とは、「狩りや漁などで獲物を捕まえること」を意味する言葉です。
「獲る」が意味するのは「獲得」です。
獲得とは「争いや競いあいによって入手すること」であり手に入れるために苦労を伴うことを表しています。
「獲る」という言葉は「簡単に手に入らないものを頑張って自分のものにすること」を表しており、一般的には「逃げたり隠れたりする対象物を知恵と技術を使って手に入れること」を指します。
逃げたり隠れたりするものを追い詰めて捕まえる作業で最も身近なものは狩猟や漁業です。
「獲る」という表現が用いられるものほとんど仮で獲物を仕留めたり漁業で魚を捕まえたりするときです。
「獲る」の使い方
・『散弾銃を使ってシカを獲る』
・『網で魚を獲る』
・『大きな獲物を穫るためにワナを仕掛ける』
・『獲物を穫るために山の奥深くまで入っていく』
「採る」と「獲る」の違い
「採る」と「獲る」の違いは「対象物」です。
「採る」は数がたくさんあって発見後は入手するのに苦労しないものを集めることを意味します。
「獲る」は獣や魚など逃げたり隠れたりするものを捕まえることを表します。
集めるために手に入れるのが「採る」、追い詰めて捕まえるのが「獲る」という違いで区別されます。
まとめ
「採る」と「獲る」は同じ読みで意味も似ている間違えやすい表現です。
変換ミスも多いので文章でかくときは注意しましょう。