スタートとなる人を指す言葉として「創業者」と「創始者」があります。
このふたつの言葉はどのような意味の違いで使い分けられているのでしょうか。
今回は、「創業者」と「創始者」の違いについて解説します。
「創業者」とは?
「創業者」とは、「事業を起こした人」を意味する言葉です。
「創業者」の「創」という字には「なにもないところから始めて作り上げる」という意味があります。
「創業者」とは「なにもないところから事業を起こした者」であり、一般的には「会社を作った人」を指します。
「創業者」が意味する「事業」とは取り組み全般を意味します。
会社など営利事業だけでなく人々のためになる公共事業や社会的な仕組みや枠組みとしての事業など幅広い対象に対しスタートさせた人のことを「創業者」と表現します。
「創業者」が意味する「事業を起こす」というのは取り組むことを意味しており手続きや登録など個別具体的な行動を指しているわけではありません。
最初は個人事業として商売を始め大きくなってから法人を設立するケースも珍しくありませんが、このようなケースでは法人登録したときのトップではなく最初に個人事業として商売を始めた人が「創業者」になります。
「創業者」は「事業を起こした最初の人」なので事業に対する貢献度合いなどとは無関係です。
事業を起こしたはいいものの上手くゆかずすぐに人に譲ってしまったとしても「創業者」は最初に起こした人です。
譲り受けた人の功績で事業が大きく成長しても後から「創業者」が変更されることはありません。
「創業者」の使い方
・『功績をたたえて創業者の銅像を設置する』
・『創業者が考えだしたレシピを中実に守り続けている』
・『創業者は働き者だったと伝えられている』
・『大企業の創業者であっても判断を間違えることはある』
「創始者」とは?
「創始者」とは、「物事を最初に始めた人」を意味する言葉です。
どんな物事にも必ず始まりがあります。
人によって始められた物事において「スタートさせた最初の人」が「創始者」です。
「創始者」という表現は一般的にそれまでなかったものを新しく生み出した人に対して使われる表現です。
新たな技術や考え方など「ゼロから生み出した人」が「創始者」であり他の人がやっていたことを受け継いだり真似したりして始めた人は「創始者」ではありません。
武術や芸事には技術体系としての流派が存在します。
流派で伝えられる内容はもともとあった技術や見識を独自にまとめ形にしたものであり、これまでに伝えられてきたものとは異なる全く新しいものとして作り上げられます。
流派の初代は「これまでになかったものを新しく生み出した人」であり「創始者」にあたります。
「創始者」の使い方
・『柔道の創始者は嘉納治五郎である』
・『新陰流の創始者である上泉信綱は無敵の強さを誇ったとされている』
・『元日には流派の創始者自ら生徒に稽古をつけるのが習わしだ』
・『創始者直筆の掛け軸を道場に飾る』
「創業者」と「創始者」の違い
「創業者」と「創始者」の違いは「始めたもの」です。
「創業者」始めたのは事業ですが、「創始者」はその後伝えられるような物事全般に対して使われます。
何かを始めた「創始者」の中でも特に会社や取り組みなどの事業を始めた人を限定して「創業者」と表現します。
まとめ
「創業者」と「創始者」は似たような意味ですが用いる対象が異なります。
「創業者」を「創始者」と言い換えても間違いではありませんが「創始者」を「創業者」とは言い換えられないので注意してください。