この記事では、「おいでやす」と「おこしやす」の違いや意味、例文を分かりやすく説明していきます。
「おいでやす」とは?
店の中に入ってきた客へ「いらっしゃいませ」と店員が気持ちを込めて出迎えるときに使うのが「おいでやす」です。
丁寧な言葉として京都では古くから使われており、「わざわざ当店に足を運んでくださり、誠にありがとうございます」という感謝の気持ちを表します。
目上の人だけではなく、年下と思われる人に対しても使えますので、年齢に関係なく出迎えるとき笑顔を見せて、両手を揃えてお辞儀しながら「おいでやす」と低調な姿勢で言うのが一般的です。
「おこしやす」とは?
「おいでやす」よりも丁寧な言い方として使われているのが「おこしやす」であり、年上の人を快く迎え入れるときに伝えます。
大阪でよく使われている言葉であり、「ようお越しやした」が簡略化され、言いやすくしたものです。
地元では「ようお越し」と親しい人を出迎えるときに使い、心を込めて出迎えることもあります。
旅館に泊まる宿泊客を出迎えるときや、遠方からわざわざ足を運んでくれた知人などを建物内に出迎えるとき嬉しそうな笑顔を見せて、招き入れるときに使われる言葉です。
「おいでやす」と「おこしやす」の違い
「おいでやす」と「おこしやす」の違いを、分かりやすく解説します。
買い物したいと店の中に入って来た客を快く招き入れるときに使うのが「おいでやす」であり、主に飲食店でよく使われており、そんなに長居しない客を招き入れるとき京都でよく使われています。
一方の「おこしやす」は、はるばる来てくれた知人や客を招き入れるときに使い、長居する客や宿泊する施設で使われている言葉で「ようこそいらっしゃいました」という意味を込めて「ごゆっくりお過ごしください」という気持ちを込めます。
「おいでやす」の例文
・『おいでやす。どうぞ店内をご覧ください』
「いらっしゃいませ」と来店した客をもてなすときに使い、店内を思い存分楽しみ、「どうぞお気に入りの商品を見つけてください」という気持ちをさりげなくこの言葉に込めています。
・『おいでやす。お待ちしておりました』
前もって飲食するために予約していた客をもてなすとき「お待ちしておりました」と付ければ心を込めてのもてなしができるわけです。
「おこしやす」の例文
・『おこしやす。道は混雑していませんでしたか』
今日来ることが分かっていた客を玄関先でもてなすとき、心配していた気持ちをさりげなく伝えられます。
・『武田はん、ようおこしやす』
いつも泊まりに来てくれる常連客へは名前を言ってから親しみをこめて「ようおこしやす」と言いますが、「よくお越しになりました」という意味合いが込められています。
まとめ
どちらも客をもてなす店員が使う言葉ですが、京都で使われている「おいでやす」は「いらっしゃいませ」と店の人が客に声をかけるときに言う言葉であり、大阪人が使う「おこしやす」は時間とお金を使って訪れた人をもてなすときに使うものと覚えておくといいでしょう。