「社畜」と「ワーカホリック」はその意味を混同されやすい言葉です。
「社畜」という表現は「あんな社畜にはなりたくない」といった文章で使い、「ワーカホリック」という表現は「ワーカホリックで休むことを知りません」といった文章で使われますが、「社畜」と「ワーカホリック」の意味の違いはどこにあるのでしょうか?
「社畜」の意味や使い方
「社畜」という表現は、「生活・家族のために会社に飼い慣らされている家畜のような会社員・サラリーマン」を意味しています。
「社畜」という言葉は、小説家・安土敏(あづちさとし)の造語とも言われていますが、「会社の言いなりになって長時間労働や理不尽な仕打ちにも従っている会社員・サラリーマン」をシニカルに(皮肉に)表現している言葉なのです。
「社畜」の使い方は、「生活や家族のために自分を殺し、会社の言いなりになって理不尽な仕打ちにも黙々と耐えている会社員、飼いならされて抵抗力を無くしたサラリーマン」を指して使う使い方になります。
「ワーカホリック」の意味や使い方
「ワーカホリック」という表現は、「自分の健康や家族のことを二の次にしてまで、過剰に仕事にのめり込む仕事中毒・仕事依存症」を意味しています。
「ワーカホリック」とは1970年代にアメリカの作家オーツが考案した言葉で、「work(仕事)とalcoholic(アルコール中毒)の合成語」で「仕事を自発的にやり過ぎること・やり過ぎる人」を意味しています。
「ワーカホリック」の使い方は、「健康・家族を後回しにしてまで仕事にのめり込む仕事中毒(仕事依存症)の状態、異常に働き過ぎの人」を指して使う使い方になります。
「社畜」と「ワーカホリック」の違い
「社畜」の表現は、「生活・家族のために自分の意志・意見を殺して、理不尽な待遇・指示にも耐えて会社の言いなりになっているサラリーマン」というネガティブな意味を持っています。
それに対して、「ワーカホリック」も「健康を崩したり家族関係を悪くしてまで仕事にのめり込む」のネガティブな意味はあるのですが、「ワーカホリック」には「自発的に仕事に熱中してのめり込み、良い成果を上げている」といったポジティブな意味もある違いがあります。
「社畜」には「家畜のように会社に飼い慣らされている状態」の意味がありますが、「ワーカホリック」には「企業戦士・専門家として自分から仕事に没頭している状態」の意味があるという違いがあるのです。
「社畜」を使った例文と意味を解釈
「彼は学生時代とは打って変わって、社畜のような主体性のない日々を送っていました」
この「社畜」を使った例文は、「社畜」という表現を、「会社に他律的に飼い慣らされた家畜のような主体性のない日々を送っていた」という意味で使用しています。
「ワーカホリック」を使った例文と意味を解釈
「彼女はワーカホリックになって昇給昇進を続けていますが、家族とゆっくり過ごす時間は失われました」
この「ワーカホリック」を使った例文は、「ワーカホリック」という表現を、「彼女は仕事を常に優先する仕事中毒になって昇給昇進を続けているが」という意味で使っています。
まとめ
「社畜」と「ワーカホリック」の意味の違いについて解説してきましたが、「社畜」の表現は「何でもかんでも会社の言いなりになって自分の意志がないこと」に意味の重点があります。
それに対して、「ワーカホリック」の表現は「自発的に仕事にのめり込んで依存症気味になっていること」に意味の重点があります。
「社畜」と「ワーカホリック」の意味の違いを正しく理解して、内容やシチュエーションに応じて適切に使い分けるようにしましょう。